EXHIBITIONS

鈴木淳夫、和田直祐 「切磋 - 絵画の証IV」

 TEZUKAYAMA GALLERY MAIN GALLERYで、鈴木淳夫のキュレーションによる企画展 「切磋 - 絵画の証IV」が開催されている。企画者である鈴木と、関西で活動するペインター・和田直祐の2人展となっている。

 鈴木淳夫は1977年愛知県生まれ。2001年に静岡大学大学院教育学研究科を修了。自身の作品を 「彫る絵画(Carved Painting)」と称し、幾重にもパネルの上に塗り重ねた絵具の層を彫刻刀で削り出し、様々な図柄を描く画風で制作。鈴木がつくり出す画面からは、作家の息遣いを感じ取れるほどの緊張感と 「彫る」という反復行為による痕跡の総体がイメージとなり、観者に提示される。

 和田直祐は1983年兵庫県生まれ。2013年に京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)大学院芸術研究科を修了。現在は大阪を拠点に活動。薄く溶いた絵の具を幾層にも塗り重ねる古典絵画の技法 「グレージング」を参照しながら、光と空間性をテーマに、高透明のメディウムを用いて独自の絵画表現の構築を試みている。透過性の高い画材を用いて、何層にもレイヤーを重ねることで生まれる繊細な色層と奥行きを持った画面は、展示空間の光そのものを取り込み、漂流し続ける氷河のように流動性を伴った鑑賞体験を生み出し、見るという行為への再考を促す。

 本展のタイトルとなっている 「絵画の証」展は、2003年、2004年にGallery Yamaguchi kunst-bau(山口孝)の企画で開催された。本企画の第1回目(2003)の出展作家であった鈴木淳夫が展覧会タイトルを継承するかたちで、2021年にTEZUKAYAMA GALLERYのVIEWING ROOMを会場に 「絵画の証Ⅲ - 東海版 -」が開催された。約2年ぶりとなる今回の 「絵画の証」展は、前回の企画者でもある鈴木が、独自の手法で絵画制作を続けている和田直祐の作品に出会ったことがきっかけとなっている。

 共通して自身の絵画の基盤にレイヤー構造を用いている両作家ではあるが、素材の選択や最終的なマチエールの処理において、明確な差異、絵画に対する意識の違いを感じ取ることができる。