松井寛泰「サイアノタイプ」

　Monochrome Gallery RAINで松井寛泰による個展「サイアノタイプ」が開催されている。

　松井は1976年東京生まれ。主な個展は「Aftergrow」（櫻木画廊、2020）、「Hiroyasu Matsui」（1010 Art、2019）、「SEE」（櫻木画廊、2018）など。

　本展ではサイアノタイプを用いた作品を紹介する。サイアノタイプとは1842年に発明された写真技法のひとつで、銀以外の感光性材料を用いたもっとも古い技法だ。「青写真」とも呼ばれており、20世紀には、建築設計図や技術図面などで頻繁に使用されていた。

　本展について松井は以下のステートメントを発表している。

　人は誰しも心の内に幼少期の微睡みのような幻影を秘めているのではないだろうか。いまだ自我が定まりきらぬひとつの存在の前に世界は如何にして立ち現れてきたのか。かつて存在し得た光景　過ぎ去りし光。記憶の残滓とも形容できるようなそれら微かな観念的世界を留め遺すこと。