EXHIBITIONS

アルフレド・ジャー「終3」

SCAI PIRAMIDE
2023.07.29 - 10.14
 SCAI PIRAMIDEでアルフレド・ジャーの個展「終3」が開催されている。

 ジャーは1956年チリ・サンティアゴ生まれ。チリで建築と映像制作を学んだ後、82年からニューヨークに拠点を移して活動している。美術家、建築家、映画監督として、世界各地で作品を発表しており、日本でも数多くの展覧会に参加している。2018年に第11回ヒロシマ賞を受賞した。

 ジャーは各地の人権侵害や社会的不公正などに関して、綿密なリサーチを長い時間をかけて実施。情報を見つめ直して深く洞察し真相に光を当てることで、現代社会を反映し問題を喚起させる作品を制作してきた。本展は第11回ヒロシマ賞の受賞記念展(広島市現代美術館)と、チリ国立サンティアゴ美術館での回顧展にあわせた展覧会であり、ジャーの新作彫刻に並び、長年の友人である写真家・森山大道とのコラボレーション作品を初公開する。

「終3」と題された本展は、3つの章で構成されており、それぞれがヒューマニティー、写真、世界の終焉として描かれている。1章では《Silent Flash》 (2023) を、2章では森山大道とのコラボレーションとなるインスタレーションを展示する。最終章では、《The End of the World》(2023年)と題された世界初公開となる彫刻作品を紹介する。ジャーの情熱的で深遠な詩学は、その作品を特徴づけるイメージの過剰な増殖と表現の不可能性を通じて、ディストピア的な未来を告げている。そのいっぽうで、ジャーは人々の心を動かす芸術の力を確信しており、それがイメージの限界を超えた、新たな可能性の創造へと駆り立てていると言える。