アルフレッド・ジャーの個展「Lament of the Images(イメージの嘆き)」がSCAI THE BATHHOUSEにて開催される。会期は10月4日〜11月2日。
ジャーは1956年チリ出身。82年にニューヨークに移住し、世界各地で起きた歴史的な事件や悲劇、社会的な不均衡に対して、綿密なリサーチと取材に基づくジャーナリスティックな視点を持って対峙。彫刻、建築、映画など様々なメディア領域で、ミニマリズムの厳格な語彙を用いて文化や政治の危機的状況を表現してきた。
これまでにヴェネチア・ビエンナーレやドクメンタ、サンパウロ・ビエンナーレ、上海ビエンナーレなど数々の国際展に参加するほか、世界各地で大規模な回顧展を開催。2013年には母国チリにて国立造形美術賞を受賞し、18年に第11回ヒロシマ賞を受賞。20年には同賞の記念展を広島市現代美術館にて開催が予定されている。またジャーの作品はニューヨーク近代美術館(MoMA)、テート・ギャラリーなど各国を代表する美術館でも多数コレクションされている。
ナイジェリアの詩人ベン・オクリからの一節、「Lament of the Images(イメージの嘆き)」と題された本展では、テート・ギャラリーのコレクションでもある代表作《Lament of the Images》(2002)がアジアで初展示される。1台は床に置かれ、もう1台はそれを正確にミラーリングするように天井から逆さまに吊り下げられたアルミニウム製のライトテーブル。モーターの動きに合わせてライトテーブルが引き下げられると、まばゆい閃光が2台のテーブルの隙間に圧縮され、やがてテーブル面が完全に密着し周囲は闇に包まれる。
本展では《Lament of the Images》(2002)に加え、アメリカ人写真家アンセル・アダムスの言葉を用いたテキストの作品《You Do Not Take a Photograph, You Make It(写真は撮るものではなく、創造するものだ)》(2013)、エミール・シオランの詩の一説を引用したネオンの作品《Be Afraid of the Enormity of the Possible(可能性がもつ非道さを恐れよ)》(2015)を展示。
1枚の写真もなく、光と文字とで構成される本展は、現代の視覚文化における盲目性を語る。
また、ジャーはケンジタキギャラリーでも個展「The Sound of Wind / 風の音」を同時開催。第11回ヒロシマ賞(2018)の受賞を受けて日本でのリサーチを進めており、ライトボックスと文字を用いた反核のメッセージを伝える新作が発表される。