EXHIBITIONS

片山真理「CAVERN」

2023.06.06 - 06.24

Calypso #001 2022
©Mari Katayama

 GALLERY ETHERで、片山真理の個展「CAVERN」が開催される。

 片山真理は、自身で手縫いしたオブジェや義足などを用いて演出を施したセルフポートレイト、それらによるインスタレーション作品を制作するアーティスト。2019年に群馬のアトリエに拠点を構えて以降は、身体と作品の関係性に加え、これを取り巻く社会についても取り組んできた。

 本展は、新作《Calypso》をはじめ作品5点とドローイングを中心に構成される。2011年に始めた「ハイヒール・プロジェクト」の再開とともに制作された《just one of those things》(2021)は、社会規範や「正しい身体」に屈して自由を諦める必要はないと訴えかける。

《leave-taking》(2021)、《possession》(2022)では、自分や他人によって付されたラベルを「手放す/所有する」という行為を問い直してきた。そこから、オブジェと自己の内側の関係を推し進めて生まれた作品が、《study for caryatid》(2023)だという。なお、タイトルにある「カリアティード」とは、古代ギリシャの神殿建築で、円柱の代わりに梁を支える女性立像を指す言葉だ。

 理想的な身体を作り上げるために用いてきた片山自身の身体とオブジェの関係に問いを投げかけることは、オブジェを通して自己の内側と対話することでもあっただろう。片山自身が「洞窟のよう」と語るこの4年間に紡がれた制作に、目を凝らしたい。