EXHIBITIONS

アルカイの空 − Sky of the beginning

2023.03.11 - 04.02
 TAV GALLERYで 「アルカイの空 − Sky of the beginning」が開催されている。

 河合隼雄が著作『中空構造日本の深層』(1982)で語った中空構造とは、ほかのものの侵入を許す構造のこと。芸術もまた他者の侵入によって成立するひとつの運動体系であるとし、それが本展を構想するきっかけとなった。

 出品作家は、大西晃生、坂爪康太郎、ロジャー・ジャヌワタ。

 大西はくしゃくしゃになった顔をモチーフに情報社会における他者と自己との関係を仮面(ペルソナ)として描き、坂爪は二重螺旋をモチーフに中心が空洞化した生き物と仮面の中庸とも言える彫刻作品を制作。陰謀論やパラドックスを扱う匿名のアーティストとして知られるジャヌワタは、実在性すら曖昧な存在ではあるが、コレクティブの中空性を考える上では外すことができないアーティストだという。

 本展では、民族性や時代性を象徴する多くの仮面の歴史から、無意識化に生活まで浸透した医療用マスクまでをつなげ、多義にわたって重要なモチーフとして扱われる 「仮面」の新たな時代の可能性について問う。さらに、神話学者のカール・ケレーニィが 「神話は本来、なぜに答えるものではなく 『どこから』に答えるものである」と語ったように、3作家の活動から創造の基盤を模索するという。