EXHIBITIONS

HIRAKU Project Vol.14

丸山直文「水を蹴るー仙石原ー」

2023.01.28 - 07.02

丸山直文 新作のためのイメージ 2022 Copyright the Artist Courtesy of ShugoArts

 丸山直文「水を蹴るー仙石原ー」展が、ポーラ美術館 アトリウム ギャラリーで開催される。美術の表現と美術館の可能性を「ひらく」ため、過去にポーラ美術振興財団の助成を受けた作家の活動を紹介する展覧会シリーズ「HIRAKU Project」の14回目。

 1990年代の活動初期から一貫して絵画を描き続けてきた丸山。キャンバスを立てて描く伝統的な絵画の制作法とは異なり、丸山は、水を含ませた綿布を床に置き水平な状態で作品を制作する。そこでは、にじみやぼかしを意図的に取り入れた画面のなかでかたちの境界は曖昧に揺らぎ、アクリル絵具の鮮やかな発色とともに、判然としない夢のような世界が生み出される。

「水を蹴る―仙石原―」と名づけられた本展。タイトルには、揺れ動く世界の、あるいは私たち自身の不確かさに対する丸山の意識が顕れているという。

 自身の制作の過程において極めて重要な役割を担いながら、丸山が「水」を意図的に絵画に描き始めたのは近年のこと。水面を描いた作品群に加えて、本展では「箱根・仙石原」の地をテーマに、ポーラ美術館を取り囲む豊かな森に取材した新作を発表する。

 会場構成は建築家の青木淳が担当し、丸山の絵画からインスピレーションを得て、重ね合わせた布によるモアレを水面に見立てた。丸山と青木がつくり上げた、輝く薄いヴェールに包まれた展示空間は、水面を歩くような少しの不安とともに、誰も知らない世界へと私たちを誘う。