EXHIBITIONS

鈴木理策「冬と春」

鈴木理策 SAKURA 21, 4-597, 4-598 2021 © Risaku Suzuki Courtesy of Taka Ishii Gallery

 写真家・鈴木理策の個展「冬と春」が、タカ・イシイギャラリーで開催されている。

 鈴木は1987年に東京綜合写真専門学校研究科を修了後、写真による創作活動を開始。98年に地理的移動と時間的推移の可視化を主題にシークエンスで構成した初の写真集『KUMANO』を出版し、2000年に『PILES OF TIME』で第25回木村伊兵衛写真賞を受賞した。06年より東京藝術大学美術学部先端芸術表現科教授。10年には日本人写真家や批評家とともに「写真分離派」を立ち上げるほか、ニューヨーク、チューリッヒで個展を開催するなど国内外で活動の場を広げている。

 鈴木は「見るという経験とは何か」を問う装置として写真をとらえ、写真の特性と視覚の問題に関心を向け続けてきた。撮影者の眼、存在する対象をありのままに映し出すカメラという光学機械、それらをつなぐ媒介としての光、撮影者の意識外にある外界の揺らぎ、そして現像された写真のイメージ同士のつながり、それらが組み合わされて「見る」という持続的な経験が、写真において成立し得ると考えている。

 タカ・イシイギャラリーでの6年ぶりとなる個展では、鈴木が継続的に撮影してきた、桜、雪、水鏡という主題を、新たな構成で展示する。

 本展にあわせて同名の作品集『冬と春』(赤々舎)が刊行されるほか、アーティゾン美術館で「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×柴田敏雄×鈴木理策 写真と絵画−セザンヌより 柴田敏雄と鈴木理策」展(~7月10日)が開催中だ。