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JR

JR

 JRは1983年フランス生まれ。90年よりストリートアーティストとして活動。17歳のとき、パリの地下鉄で1台のカメラを拾ったことをきっかけに、街の壁や建物などに写真を貼る「ペースティング」の表現を確立する。2004年、ストリートをギャラリーに初めての展示を開催し、パリ郊外の公営住宅に住む若者たちを撮影した「Portrait of a Generation」を発表。07年、イスラエルの街で「Face 2 Face」プロジェクトを実施し、同じ職業のイスラエル人とパレスチナ人のポートレイト写真を引き伸ばして街の壁に並列させ、両国和解の方法を探った。また「Women Are Heroes」では、ブラジルの貧民街で犠牲を強いられる女性たちの声に耳を傾けたプロジェクトを行い、そのドキュメンタリー映画がカンヌ国際映画祭で上映された。11年に「TED賞」を受賞。

 11年より参加型プロジェクト「Inside Out」を開始。参加者はプロジェクトのウェブサイトにポートレイトをアップロードし、手元に届いた巨大ポスターを思い思いの場所に貼っていく。ポートレイトのポスターを貼った場所や添えたメッセージはウェブサイトでアーカイヴされ、世界でシェアされる。日本では、12年に撮影室とプリンターを兼ねたトラックが東日本大震災の被災地を巡回。これらの、あらゆる人が鑑賞可能な壁をギャラリーにするプロジェクトを通して、紛争や貧困といった世界各地の問題を発信するとともに、アートが世界の見え方を変えうることを提示している。これまで、第52回ヴィネチア・ビエンナーレ(2007)、「時代の肖像展」(テート・モダン、ロダン、2008)、「パリ・デリー・ボンベイ展」(ポンピドゥー・センター、パリ、2011)などに参加。アジア初個展「JR展 世界はアートで変わっていく」をワタリウム美術館(東京、2013)で開催。現在、パリとニューヨークを拠点に活動する。