EXHIBITIONS
JR「CONTRETEMPS」
フランス人アーティスト・JRの個展「CONTRETEMPS」がペロタン東京で開催。本展では、「Unframed」シリーズより2012年制作の初期作品と、昨今のパンデミック下においてJRの故郷パリで制作された新作バレエシリーズを展示し、JRのルーツを振り返る。
今回、ウィリー・ロニの象徴的な写真作品《バスティーユの恋人》(1957)にインスピレーションを受けたJRは、このイメージを現代に再構築したいと考え、バレリーナのカップルがパリの頂点で抱擁し、浮遊する姿を構想した。パリがほかの都市と同様に、新型コロナウイルス感染症の影響で世界から断絶されていた2021年初頭に、オペラ・バスティーユの屋上で撮影を実施。パリの地平線の一端を覗かせる写真は、1985年に同国立モニュメントが閉鎖されて以来、一般市民には見ることのできない特有の景色を写し、建物の屋根にはバレリーナが穏やかに佇んでいる。
いっぽう進行中の「Unframed」シリーズでは、JRが見つけた記録写真をしばしば原寸以上に拡大し、多様な建造物に貼り付けていく作品。今作は2012年にJRが日本全国を旅した際に、報道写真家の渡部雄吉が撮影した写真に触発され、忘れ去られた鉱山の村・松尾の廃墟や人目につかない岩の露頭に、歴史的な状況を暗示する写真を織り交ぜている。
JRはこうした記録写真を各撮影地にたんに再配置するのではなく、立ち入りが困難で今後何年ものあいだ手つかずのままであろう新たな場所に配置することで、両者を交差させ、新たな物語を創出することを目指している。見捨てられたゴーストタウンには、それぞれの重みある歴史や、独自の物語がある。JRは建造物を再文脈化することで過去と現在の対話を切り拓き、公共と個人の空間という領域において私たちの街を構成し、絶え間なく変化し続ける歴史の重層について熟考することを鑑賞者に促す。
今回、ウィリー・ロニの象徴的な写真作品《バスティーユの恋人》(1957)にインスピレーションを受けたJRは、このイメージを現代に再構築したいと考え、バレリーナのカップルがパリの頂点で抱擁し、浮遊する姿を構想した。パリがほかの都市と同様に、新型コロナウイルス感染症の影響で世界から断絶されていた2021年初頭に、オペラ・バスティーユの屋上で撮影を実施。パリの地平線の一端を覗かせる写真は、1985年に同国立モニュメントが閉鎖されて以来、一般市民には見ることのできない特有の景色を写し、建物の屋根にはバレリーナが穏やかに佇んでいる。
いっぽう進行中の「Unframed」シリーズでは、JRが見つけた記録写真をしばしば原寸以上に拡大し、多様な建造物に貼り付けていく作品。今作は2012年にJRが日本全国を旅した際に、報道写真家の渡部雄吉が撮影した写真に触発され、忘れ去られた鉱山の村・松尾の廃墟や人目につかない岩の露頭に、歴史的な状況を暗示する写真を織り交ぜている。
JRはこうした記録写真を各撮影地にたんに再配置するのではなく、立ち入りが困難で今後何年ものあいだ手つかずのままであろう新たな場所に配置することで、両者を交差させ、新たな物語を創出することを目指している。見捨てられたゴーストタウンには、それぞれの重みある歴史や、独自の物語がある。JRは建造物を再文脈化することで過去と現在の対話を切り拓き、公共と個人の空間という領域において私たちの街を構成し、絶え間なく変化し続ける歴史の重層について熟考することを鑑賞者に促す。