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ピピロッティ・リスト

Pipilotti Rist

 ピピロッティ・リストは1962年スイス生まれ。ウィーン応用美術学校でデザインと写真、バーゼルのデザイン・スクールでヴィデオを学ぶ。ステージデザインの仕事に携わった後、80年代後半よりテレビ番組やポピュラーカルチャーを取り入れた映像作品の制作を開始。映像制作の傍ら、88〜94年まで音楽活動を行う。90年代初頭、鮮やかな色彩のなかで、女性の性器と花などをミクロ撮影した《ピッケルポルノ》(1992)、女性が車の窓ガラスを割るスローモーション映像と、花の映像二画面が哀調を帯びた音楽とともに流れるヴィデオ・インスタレーション《Ever is Over All》(1997)などを発表し、女性の身体感覚や性という繊細なテーマながら幸福感のある作品で注目を集める。97年に《Ever is Over All》で、ヴェネチア・ビエンナーレPREMIO2000(若手作家賞)を受賞。同作はニューヨーク近代美術館(MoMA)に収蔵される。2005年にヴェネチア・ビエンナーレでスイス館展に出品し、08年にはMoMAで個展を開催。09年に初めて監督を務めた映画『ペパーミンタ』が公開される。

 近年は、展示空間にリビングを配置して日用品に映像を映すインスタレーション、教会や美術館の天井に投影した映像を観客が横になって鑑賞する大作などを手がけている。日本では1999年に京都国立近代美術館の「身体の夢」展で《Ever is Over All》を初公開。2007年に原美術館(東京)で初個展「ピピロッティ・リスト:からから」を、翌年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で「ピピロッティ・リスト:ゆうゆう」を開催。18年には現代美術センターCCA北九州 CCAギャラリー(福岡)の「ピピロッティ・リスト 初期のビデオ作品」展で、1980〜90年代の映像作品が上映された。