EXHIBITIONS

ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島-

ピピロッティ・リスト マーシー・ガーデン・ルトゥー・ルトゥー/慈しみの庭へ帰る 2014
マルチチャンネル・ヴィデオ・インスタレーション(15分14秒)
クンストハレ・クレムスでの展示風景、2015
Photo by Lisa Rastl © Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine

ピピロッティ・リスト 4階から穏やかさへ向かって 2016
4チャンネル・ヴィデオ・インスタレーション/ベッド、枕(13分23秒、8分11秒、8分11秒)
オーストラリア現代美術館での展示風景、2017
Photo by Ken Leanfore © Pipilotti Rist, All images courtesy the artist, Hauser & Wirth and Luhring Augustine

 スイスを拠点に国際的に活躍するアーティスト、ピピロッティ・リストの展覧会「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島-」が水戸芸術館現代美術ギャラリーに巡回する。

 ピピロッティ・リストは1962年、スイスのザンクト・ガレン州グラブス生まれ。実験的な映像表現を探究するアーティストとして、80年代からスイスを拠点に世界各地の美術館や芸術祭で作品を発表してきた。色彩に満ちた世界をユーモアたっぷりに切り取ってみせる映像と、心地よい音楽や空間設計によるリストのヴィデオ・インスタレーションは、国を越えて幅広い世代の観客を魅了し続けている。

 本展は、身体、ジェンダー、自然、エコロジーを主題とした作品およそ40点で構成。身体や女性としてのアイデンティティをテーマとする初期の短編ヴィデオやヴェニス・ビエンナーレに出品された代表作《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に》、自然と人間が共存する今日の世界をのびやかに謳う、パノラミックなスクリーンへと展開する近年の大型インスタレーション《もうひとつの身体》《マーシー・ガーデン・ルトゥー・ルトゥー/慈しみの庭へ帰る》《不安はいつか消えて安らぐ》、そして映像と家具が溶け合ったリビングルーム、日用品を作品へと再循環させる80年代からの一貫した関心によって生まれた作品群など、約30年間の活動の全体像を本格的に紹介する。

 本展は、ベッドやクッションに横たわってくつろぐ、食卓を囲むといった遊び心あふれる映像鑑賞体験へと観客を誘う作品を通して、現代社会における切実なテーマを鑑賞者の身体とともに少しずつ解きほぐす機会となるだろう。

※水戸芸術館は「水戸市新型コロナウイルス感染症対策本部」の方針を受け、8月6日〜9月19日まで臨時休館。これに伴い本展の会期を変更して開催(当初の会期は8月7日~10月17日)。最新情報は公式ウェブサイトへ。