EXHIBITIONS
ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島-
スイスを拠点に国際的に活躍する現代アーティスト、ピピロッティ・リストの展覧会「ピピロッティ・リスト:Your Eye Is My Island -あなたの眼はわたしの島-」が開催される。
ピピロッティ・リストは1962年スイス生まれ。五感を刺激する心地よい音楽と、鮮やかに彩られた世界をユーモアたっぷりに切り取った映像によるヴィデオ・インスタレーションで、国を越え幅広い世代の観客を魅了してきた。
80年代にウィーンの応用芸術学校、バーゼルのデザイン学校で学んだリストは、当初、知人の音楽バンドの舞台デザインや映像制作を担当。86年に自身を撮影したカラーの短編ヴィデオ作品《わたしはそんなに欲しがりの女の子じゃない》をスイスのゾロトゥルン映画祭に出品・受賞したことをきっかけに、ヴィデオ・アーティストとしての道を歩み始めた。
作家として大きな転機となったのが、98年のヴェネツィア・ビエンナーレで発表した《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に(Ever Is Over All)》と《わたしの海をすすって(Sip My Ocean)》。2つのイメージが重なりあうよう投影する手法、またジェンダーや身体、自然との共生など現代社会に通底するテーマを扱ったリストは、美術における映像のあり方に新境地をもたらした。
2000年代以降は、ニューヨークのタイムズ・スクエアのマルチビジョンでの夜間投影、 パリのポンピドー・センター前広場への屋外投影、金沢21世紀美術館のトイレ内での作品設置など、ヴィデオ・アートの領域を越えて、私たちの日常生活と映像の関係の様々なあり様を反映するように映像展示の可能性を広げている。
本展は、リストの初期作から最新作までを紹介。身体、女性、自然、エコロジーをテーマとした作品およそ40点で構成される。
前半では、身体や女性としてのアイデンティティをテーマとする初期の短編ヴィデオやヴェニス・ビエンナーレで若手作家優秀賞を受賞した《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に(Ever Is Over All)》を展示。続いて、自然と人間との共生をのびやかに謳う、最新の映像技術を駆使した近年の大規模な映像インスタレーション、美術館の所蔵作品を取り込んだ新作、廃材を活用した屋外作品など、リストの約30年間の活動を集約する。
また本展は、自宅でくつろぐように靴を脱いで作品を鑑賞可能。鑑賞者自らの意思で作品とどのような関係を結ぶのかに関心があると言うリストの、遊び心あふれる没入型の映像と空間は、コロナ禍における鑑賞者と美術館の関係を再構築するとともに、現代社会における切実なテーマを鑑賞者の身体とともに少しずつ解きほぐすだろう。
「Your Eye Is My Island-あなたの眼はわたしの島-」という本展のサブタイトルは作家自身がつけたもの。人間の「眼」は「Blood-driven Camera=血の通ったカメラ」と呼ぶリストの重要なテーマで、いっぽう日本を指す「Island」には、日本への特別な思いを込めているという。
※京都国立近代美術館は政府からの要請を受け、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、4月25日〜5月11日まで臨時休館し、5月12日より再開予定(本展の会期を6月20日まで延長)。詳細・最新情報は公式ウェブサイトへ。
ピピロッティ・リストは1962年スイス生まれ。五感を刺激する心地よい音楽と、鮮やかに彩られた世界をユーモアたっぷりに切り取った映像によるヴィデオ・インスタレーションで、国を越え幅広い世代の観客を魅了してきた。
80年代にウィーンの応用芸術学校、バーゼルのデザイン学校で学んだリストは、当初、知人の音楽バンドの舞台デザインや映像制作を担当。86年に自身を撮影したカラーの短編ヴィデオ作品《わたしはそんなに欲しがりの女の子じゃない》をスイスのゾロトゥルン映画祭に出品・受賞したことをきっかけに、ヴィデオ・アーティストとしての道を歩み始めた。
作家として大きな転機となったのが、98年のヴェネツィア・ビエンナーレで発表した《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に(Ever Is Over All)》と《わたしの海をすすって(Sip My Ocean)》。2つのイメージが重なりあうよう投影する手法、またジェンダーや身体、自然との共生など現代社会に通底するテーマを扱ったリストは、美術における映像のあり方に新境地をもたらした。
2000年代以降は、ニューヨークのタイムズ・スクエアのマルチビジョンでの夜間投影、 パリのポンピドー・センター前広場への屋外投影、金沢21世紀美術館のトイレ内での作品設置など、ヴィデオ・アートの領域を越えて、私たちの日常生活と映像の関係の様々なあり様を反映するように映像展示の可能性を広げている。
本展は、リストの初期作から最新作までを紹介。身体、女性、自然、エコロジーをテーマとした作品およそ40点で構成される。
前半では、身体や女性としてのアイデンティティをテーマとする初期の短編ヴィデオやヴェニス・ビエンナーレで若手作家優秀賞を受賞した《永遠は終わった、永遠はあらゆる場所に(Ever Is Over All)》を展示。続いて、自然と人間との共生をのびやかに謳う、最新の映像技術を駆使した近年の大規模な映像インスタレーション、美術館の所蔵作品を取り込んだ新作、廃材を活用した屋外作品など、リストの約30年間の活動を集約する。
また本展は、自宅でくつろぐように靴を脱いで作品を鑑賞可能。鑑賞者自らの意思で作品とどのような関係を結ぶのかに関心があると言うリストの、遊び心あふれる没入型の映像と空間は、コロナ禍における鑑賞者と美術館の関係を再構築するとともに、現代社会における切実なテーマを鑑賞者の身体とともに少しずつ解きほぐすだろう。
「Your Eye Is My Island-あなたの眼はわたしの島-」という本展のサブタイトルは作家自身がつけたもの。人間の「眼」は「Blood-driven Camera=血の通ったカメラ」と呼ぶリストの重要なテーマで、いっぽう日本を指す「Island」には、日本への特別な思いを込めているという。
※京都国立近代美術館は政府からの要請を受け、新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡散防止のため、4月25日〜5月11日まで臨時休館し、5月12日より再開予定(本展の会期を6月20日まで延長)。詳細・最新情報は公式ウェブサイトへ。