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岩崎貴宏

Takahiro Iwasaki

 岩崎貴宏は1975年広島県生まれ。2003年広島市立大学芸術学研究科修了、05年エジンバラ・カレッジ・オブ・アート大学院修了。歯ブラシ、文庫本の栞、シャーペンの芯など身の回りにあるものを使って建築物を模した、繊細な立体作品を制作。本を建設中のビルに見立て、付属の栞を解いてクレーンを組み立てた「テクトニック・モデル」シリーズなど、遠近で見え方が異なる作品によって固定化された視点に揺さぶりをかける。また、歴史的な建築物の地上の実像と水面に反射する虚像が一体化するさまを、ヒノキの模型で精巧に再現した「リフレクション・モデル」シリーズを発表。これらの作品には自身の出身地であり、原子爆弾によって破壊された広島の歴史が意識下にあり、現在も同地を活動拠点として、史実に関わるモチーフを選んで制作を行っている。第57回ヴェネチア・ビエンナーレ(2017)日本館の代表として出展し、「逆さにすれば、森」展を開催。そのほかの主な個展に、「ひかりは星からできている」(URANO、東京、2017)、「Takahiro Iwasaki: In Focus」(アジア・ソサエティ、ニューヨーク、2015)、「岩崎貴宏展 埃(10-10)と刹那(10-18)」(小山市立車屋美術館、栃木、2015)、「岩崎貴宏展 山も積もればチリとなる」(黒部市美術館、富山、2015)など。