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キース・ヘリングの壁画はどこへ? 35年の歴史に幕

東京・神宮前にあるワタリウム美術館。この向かいにあったキース・ヘリングの巨大壁画と、それが描かれた建物が姿を消した。その行方とは?

1983年当時の外観写真 画像提供=ワタリウム美術館

 東京を代表する私設美術館として、国内外の現代美術家たちを紹介し続けているワタリウム美術館。この建物の向かいで道ゆく人々を楽しませてきたキース・ヘリング(1958〜90)の壁画が消えたことにお気づきだろうか?

 この壁画は1983年2月、キース・ヘリングがワタリウム美術館の前身「ギャルリーワタリ」での日本初個展にあわせて来日した際、わずか1日で描いたもの。下書きもなく一気呵成に描いていく様子は、当時多くの注目を集めた。

制作中のキース・ヘリング 画像提供=ワタリウム美術館
手前から制作中のキースへリング、和多利浩一、和多利恵津子

 キース・ヘリングが壁画を描いたのは、現・ワタリウム美術館の和多利浩一と恵津子が営んでいた「ON SUNDAYS」の建物。ここをキース・ヘリングのアトリエとするために、外壁と内壁にスプレーペイントがなされた。

 その後、2階建てのこの建物は、ワタリウム美術館開館以降もバリー・マッギーやJR、Chim↑Pomら様々なアーティストたちが作品発表の場として使用。しかしながら、「建物の老朽化と壁画の劣化の両面から、建物の解体と壁画の修復という決断に踏み切りました」(和多利浩一)という。

ワタリウム美術館の向かいにあった建物。2階がキース・ヘリング、一階がバリー・マッギー(2007)、左のブロック塀がChim↑Pom「ひっくりかえる展」で制作された《非常口》(2012)、窓部分がJR(2012) 画像提供=ワタリウム美術館
解体中の様子 画像提供=ワタリウム美術館

 今後については、「壁画はキース・ヘリング、バリー・マッギーともに輸送可能な壁画として、国内のどこかで展示することができるようになります」と語る。今年、生誕60年を迎え、あたらめて注目を集めるキース・ヘリング。その代表作が次はどこに出現するのか、その行方に注目したい。

 なお、更地になった場所には「2020年のオリンピック以降に向けて新たなプロジェクトを予定しています。2019年にはそれも発表できると思います」とのこと。ワタリウムの次なる展開にも期待が集まる。

制作中のキース・ヘリング 画像提供=ワタリウム美術館

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