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建築を「生成する生命活動の一部」ととらえる。建築家・平田晃久の
個展がギャラリー間で開催

建築家・平田晃久の個展「平田晃久展 Discovering New」が東京・乃木坂のTOTOギャラリー・間で開催される。建築を広義の生命活動として再発見することで、新たな可能性を見出そうとする平田の、これまで手がけてきたプロジェクトを体感することができる。会期は5月24日~7月15日。

太田市美術館・図書館 ©Daichi Ano

 平田晃久は1971年大阪府生まれ。94年に京都大学工学部建築学科卒業、97年同大学院修了。伊東豊雄建築設計事務所に勤務したのちに独立し、05年に平田晃久建築設計事務所を設立。15年より京都大学准教授を務めている。これまでの主な作品には「桝屋本店」(2006)、「Bloomberg Pavilion」(2011)、「Kotoriku」(2014)、「太田市美術館・図書館」(2017)などがある。また、第19回JIA新人賞(2008)、Elita DesignAward(2012)、第13回ヴェネチアビエンナーレ国際建築展金獅子賞(2012、日本館協働受賞)、日本建築設計学会賞(2015)、第31回村野藤吾賞(2018)など受賞歴多数。16年にはニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催された「Japanese Constellation展」に参加するなど、国際的にも注目されている建築家のひとりだ。

 そんな平田の個展「平田晃久展 Discovering New」が、東京・乃木坂のTOTOギャラリー間で開催される。平田が約10年間取り組んだ国内外の建築活動と進行中のプロジェクトを、コンセプト別に体系化し俯瞰する展覧会となる。

 

Taipei Complex ©Yukikazu Ito

 「建築とは『からまりしろ』をつくることである」というコンセプトを掲げている平田。「からまりしろ」とは、空間や建築に、周辺の環境と絡まることができる「しろ(=余地)」をつくるという考えで、建築が一個体としての役割を超えて、生きている世界の一部となる可能性を見出すというものだ。

 平田は本展について、「私たちの建築は、建築やその背後にある人間の営みを、広義の生命活動としてとらえ直すところから始まる。そのとき、公共建築すら、多様な人びとを異なる『生物種』と読み替えたある種の『生態系』となるだろう。そのためには、手がかりとなる何らかの考え方、生命の営みと建築をつなぐ、新しいラインを見つけなければならない。この展覧会では、そのような思考のラインとその交錯を、模型を含むさまざまな事物の立体的配列で体験的、博物学的に示す」と語る。

 本展でも紹介されている「太田市美術館・図書館」は、平田の思想が公共建築として結実した作品。市民を巻き込んだ設計プロセスを経て、内と外が有機的に絡まりあう豊かな公共空間を実現し、街の新たなランドマークとして多様な活動の場を提供している。また、同年完成した「Tree-ness house」では、複雑に積層したボックスにひだ状の開口部と植物が絡まりあい、都市部における多層的な居住環境を生み出した。

Tree-ness House ©Vincent Hecht

 建築を「生成する生命活動の一部」ととらえ、植物・生物・気象現象などの有機活動をつかさどる摂理を建築に取り込むことで、建築の本来のあり方を模索してきた平田。その建築活動の現在の到達点だけでなく、建築哲学と世界観も見ることができる展覧会だ。

編集部

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