アンディ・ウォーホルやジャン=ミッシェル・バスキアなどと同様に、1980年代のアメリカ美術を代表するアーティスト、キース・ヘリング。ニューヨーク地下鉄構内の広告板に落書きをする「サブウェイ・ドローイング」というグラフィティ・アートで一躍脚光を浴びるも、1988年にエイズと診断。翌年には恵まれない子供たちへの基金やHIV/エイズ予防啓発運動を継承していくための財団を設立し、90年に31歳の若さで亡くなるまで、絵画や彫刻、アニメーション、レコード・カバーに至るまで幅広い作品を残したことで知られている。
なかでもキース・ヘリングはポスター・アートに注目し、核放棄やエイズ予防、LGBTのカミングアウトを促すナショナル・カミングアウト・デーなどの社会的な作品から、アブソルート・ウォッカやスウォッチなどの商業的な作品まで、ポスターだけで100点以上を制作した。また、86年にはオリジナルグッズを発売する「ポップショップ」をニューヨークに開店。88年にはニューヨークの1号店に続き東京・青山にもショップをオープンさせ、表参道の歩行者天国で路上にチョークでドローイングをするパフォーマンスも行い、話題を呼んだ。
キース・ヘリングの生誕60年を記念して行われる本展では、「Pop」「Music」「Street」の3部で展示を構成。山梨の中村キース・ヘリング美術館が所蔵するオリジナル・ポスターをはじめ、ハウスミュージックやパンクロックのレコード・カバーなど、約70点を東京で初展示。また、キース・ヘリングが表参道の路上にドローイングする貴重な姿を捉えた秘蔵写真約30点が世界で初めて公開される。
なお、会場内には「ポップショップ」を彷彿させるブースも登場し、東京ではここでしか手に入らないグッズ販売コーナーを展開する。