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東京は新たなアートハブとして成長できるのか? 「Tokyo Gendai」のディレクター、Eri Takaneに聞く

豊かな芸術・文化資源を有している東京。ソウルなどアジアに新たなアートハブが台頭するなか、東京はいかにしてその競争力を高めることができるのか? 本連載では、アートフェア・ディレクター、ギャラリスト、コレクターなど、東京のアート・エコシステムに深く関わる人物への取材を通じ、その可能性を探りたい。第1回目は、今年7月に初めて開催されたアートフェア「Tokyo Gendai」のディレクター、Eri Takaneに話を聞いた。

文=王崇橋(ウェブ版「美術手帖」編集部)

第1回「Tokyo Gendai」の会場風景 Courtesy of Tokyo Gendai

 アート・バーゼルとUBSが今年発表した「The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2023」によると、2022年の世界の美術市場における取引額上位4ヶ国のアメリカ、イギリス、中国、フランスは、市場シェアの87パーセントを占めているという。しかし、この4ヶ国以外にも、世界のアート地図には望ましい目的地が数多く存在しており、日本もそのひとつである。

 昨年、ペース・ギャラリーのCEOマーク・グリムシャーが「美術手帖」の取材に対して語ったように、「日本に行きたがらない人はいないだろう」。コロナ禍前の2019年に行われたThe Art Newspaperの調査によると、世界で行われた美術館での展覧会を対象にした訪問者数ランキングトップ20のうち6つは東京開催のものであり、他都市と比べて最多となっている。

 日本には数多くの観光名所や世界遺産がある。そのうえ、1970年代から80年代にかけての急速な経済発展のおかげで、全国の国立・公立美術館は西洋近代美術の優れたコレクションを築き上げ、大手企業による私立美術館も相次いで誕生したため、毎年3月に開催されるアート・バーゼル香港の前後には、欧米のコレクターやギャラリストが日本に立ち寄り、観光やショッピングを楽しむことも多い。また、東京は200軒のミシュラン・レストランを有する屈指の「美食の街」でもある。

 昨年11月にアート・バーゼルと提携して行われたアートウィーク東京の成功は、東京が世界有数のアートと文化の発信地としてのポテンシャルを有していることの証しである。アート・バーゼルが東京に送り込んだ200人超のVIPの多くは、日本の芸術・文化資源の豊かさと多様性に驚嘆したという。

 とはいえ、コロナ禍以降、新興コレクターの参入により国内のアートマーケットは堅調に成長しているものの、世界的に見れば日本の市場シェアは依然として小さい。一部の大物アーティストを除き、日本の現代アートの世界的な認知度は低いままである。昨年、アジアでは初のフリーズ・アートフェアが開催された韓国・ソウルに比べ、日本のアートシーンは、その実力に見合うだけの注目を浴びていないと言えるだろう。 

 では、日本、とくに東京が世界的に重要なアートハブになるためには何が必要なのだろうか?  この問いを念頭に置きながら、美術手帖は東京のアート・エコシステムに深く関わる人物への一連のインタビューを企画。 第1回目は、今年7月に初開催されたアートフェア「Tokyo Gendai」のディレクター、Eri Takaneに話を聞いた。

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重要なのは対話の機会をつくること

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