2022年の世界美術品市場の規模は約9兆円。日本市場の状況は?

アート・バーゼルとUBSによる、昨年の世界美術品市場を分析するレポート「The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2023」が発表された。市場規模は前年比で3パーセント増の推定678億ドル(約9兆円)となり、今年のレポートでは日本の市場についても初めて言及された。

The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2023

 アート・バーゼルとUBSが毎年発表している、世界美術品市場を分析する「The Art Basel and UBS Global Art Market Report」。その2023年版が公開された。

 第7年目となる今年のレポートはArts Economicsの創設者である文化経済学者クレア・マカンドリュー博士が執筆し、2022年の世界美術品市場の状況をマクロ経済学的に分析したもの。今年は、コロナ禍の余波が市場にどのような影響を与え続けるかを綿密に調査し、また今後1年間の主要トレンドを予測している。

 また、マカンドリュー博士が昨年「美術手帖」のインタビューで話していたように、今年のレポートでは文化庁アートプラットフォーム、全国美術商連合会、日本現代美術商協会(CADAN)、日本現代美術振興協会(APCA)や韓国の組織の協力を得て、アジアでの調査範囲を拡大している。日本に関する記述は、本稿の最後にて紹介する。

上位の4ヶ国で市場シェアの87パーセントを占める

 昨年、世界の美術品売上は前年比3パーセント増の678億ドル(約9兆円)と推定され、2019年のコロナ禍前の水準を上回った。アメリカは市場トップの座を維持し、売上に占めるシェアは前年比2パーセント増の45パーセントとなった。イギリスは中国を抜いて18パーセントの市場シェアで2位に返り咲き、中国のシェアは3パーセント減少して17パーセントとなった。フランスは、7パーセントの市場シェアに変更はなく、世界第4位の市場を維持した。

出典=「The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2023」

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