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独占インタビュー:東京のアートマーケットに勝ち筋はあるのか? 「TOKYO GENDAI」ディレクターに聞く

2023年7月、国際水準のアートフェア「TOKYO GENDAI」がパシフィコ横浜で初開催される。これまでアジアを中心に数々のフェアを手がけてきた「The Art Assembly」のマグナス・レンフリューが音頭を取り、Google Arts & Cultureで日本のアートシーンとも関係を築いてきたEri Takaneがフェアディレクターを務めるこのフェア。その狙いや日本のマーケットに対する考えを聞いた。

聞き手=橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長) ポートレート撮影=手塚なつめ 通訳=石丸由紀 協力=寺田倉庫 

マグナス・レンフリューとEri Takane

──いよいよ明らかになった「TOKYO GENDAI」ですが、まず気になるのはこのフェアの狙いです。

マグナス・レンフリュー(以下、レンフリュー) TOKYO GENDAIには80から100のギャラリーが参加します。世界的に著名なギャラリーだけでなく、日本やアジアのギャラリーにも参加してもらおうと思っています。

 私たちの狙いは3つ。ひとつはコンテンポラリーアートおよびコンテンポラリーアートのマーケット(顧客)を拡大すること、2つめは日本の文化的なプロダクト、日本がもっているポテンシャルに注目すること、3つめは日本のアートシーンと海外のアートシーンをきちんとつなぎ、絆を醸成していくことです。

マグナス・レンフリュー

──「拡大する」ということは、日本のマーケットはまだ小さいという認識ですね?

レンフリュー これはアジア全体に言えることでもありますが、日本は、現代美術のコレクターの下地は確立されており、次世代のコレクターも台頭してきています。しかし、現代美術のオーディエンスを拡大できるだけの“伸びしろ”まだ存在している。そこに国際的なスタンダードを持ち込み、新たな文脈をつくっていきたいのです。

 日本では現代美術と対峙することを不安に感じている人は多いでしょう。その「ためらいの要素」を減らすということが必要で、そのためにはアートのセレクションをきちんと監修し、国際標準のものを提供することが重要です。展示されるアートがベストなものになれば、鑑賞者やコレクターも間違った選択をすることはないでしょう。

──そのセレクションを担うセレクションコミッティーメンバーを見たところ、マーク・グリムシャー氏(PACE)やティム・ブラム氏(Blum&Poe)など世界のアートシーンで通用する方々が名を連ねています。「国際標準」という言葉には説得力がありますね。

レンフリュー 強力なメンバーに集まってもらいました。それぞれが経験豊富であり、国際的なアートのことにも通じているのはもちろん、日本の洗練されたアートについても高い知見を持っています。彼らもこのアートフェアが持つ可能性をエキサイティングだと思っているし、信じてくれているのです。

──Takaneさんは今回が初のフェアディレクターです。

Eri Takane(以下、Takane) 私は前職のGoogle Arts & Cultureで美術館に対してのプラットフォームを構築していましたが、アートフェアも同様に、美術におけるインフラとしての役割があります。TOKYO GENDAIが海外のギャラリーや異なるジャンルの人々が集まりコミュニケーションする場になることは、非常に有意義だと思います。

Eri Takane

──日本のアートシーンと海外のアートシーンをつなぐ、という点においてはどう思いますか? まだそのブリッジが弱いと?

Takane 私はそうではないと思っています。日本のアーティストも海外で活躍しているし、コレクターも海外にたくさんいます。

レンフリュー 海外からギャラリストやコレクターたちが日本に来る機会が増えれば、関係性は自然と強くなっていくはずです。世界のアートワールドのなかでも日本はしっかりした立場を確立していますが、実際に来日することで、まだ知らない日本文化を体験することもできるでしょう。日本の文化、伝統は世界でも幅広く受け入れられ、尊敬を集めており、影響も大きいですからね。

──東京には「アートフェア東京」があり、近年では京都や大阪などで新たなアートフェアが相次いで誕生しています。こうした状況でTOKYO GENDAIの勝ち筋とは?

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