昭和・平成時代の日本を代表する洋画家のひとり・大沢昌助(1903〜1997)の作品展が、東京・広尾にあるアルフレックス東京のインテリア空間で開催されている。大沢の長男で画家・大沢泰夫の全面的な協力のもと、十数年ぶりに公開される貴重作品も含めた約60点を展示。会期は7月26日まで。
大沢は1903年東京生まれ。28年に東京美術学校(現東京藝術大学)西洋学科を首席で卒業し、54年には多摩美術大学教授となる。これまで池田二十世紀美術館や練馬区美術館、志摩museumなどの美術館で個展を開催したほか、世田谷区役所第一庁舎ロビーに壁画モザイク、東京新都庁舎 都議会本会議場ロビーに大理石壁画などのパブリック・アート作品も残している。
大沢は、澄み切って清々しい簡潔な色面構成や、自由奔放にキャンバスの上を動き回る線など独自のスタイルを確立。枠組みにとらわれない真っ直ぐな作品は、いまなお色褪せることなく、時代を超えて見る者の心に新鮮な感動を与え続けている。
本展では油画、水彩、リトグラフなどの作品を多数紹介。7月7日より始まる後期展示では、晩年の名作「逸楽と秩序」シリーズを見ることもできる。
1978年のJIYUGAOKA GALLERYでの個展に際しては、次のような言葉を寄せている。
朝の食事が終ると、アトリエに這入る。
昨日の日記を、簡単に記したあとは、素描と水彩絵具の日記のようなものがはじまるのが、
多くの日の日課となっている。
幼稚園に行かない日の孫娘が、襲撃してくるのはその時だ。
仕事の間に、その気を起せば遊戯はうまく行く。
僕にとっても、気分転換で、大変いゝ。
付き合いきれない時は、事態は深刻になって来る。
辛辣な批評精神が、台頭して来るのも当然だ。
「おじいちゃんはとしよりだから絵が下手だね。」
「LIFE with ART project」と称し、ジャンルも表現も様々なアートイベントを精力的に開催しているアルフレックス。絵が生活とともにあることを喜んだという大沢の作品とインテリアとの共鳴をぜひ体験してほしい(curated by noie.cc)。