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アートと気候危機のいま vol.8 フランシス・アップリチャードとマルティーノ・ガンパーのまなざし。能動的に環境意識を持って生活し、制作する【2/7ページ】

アート業界に、気候変動の議論を持ち込んでいく

──どのように気候問題についての情報を得ていますか?

アップリチャード 実際のところ、ニュージーランドで5回のサイクロンを経験したとき、もっとも多くの情報を得たと思います。本当に実感を伴う、否定することのできない物理的な情報でした。2年前、ニュージーランド北部のグレート・バリア島にある私たちの家を、これまでにないような巨大なサイクロンが襲ったんです(*1)。1980年代以来、その規模の嵐は発生しておらず、数もたったひとつでした。しかし、今回は5つの大規模なサイクロンが連続して発生した。前例のないことでした。

──アーティストやアート業界の人々とこれらの問題について話したり、話題にすることはありますか?

アップリチャード あまり話題にならない気がします。「偽善者」と言われることをかなり恐れている人が多いんですよね。それは、本当に間違った役に立たない考え方だと思います。例えば、誰かが「ブロンズで彫刻をつくっているあなたは偽善者だ」と言うかもしれない。いま、アート業界では多くの人がそう指摘されることを恐れています。だからこそ、私はサイエンス・フィクション(SF)をよく読むのかもしれません。SFは論理的な、あるいは非論理的な次のステップに進んでいくものだから。

──とくに好きな作家はいますか?

アップリチャード オクテイヴィア・E・バトラーはお気に入りの作家です。長らく彼女の作品を愛読してきました。また、N・K・ジェミシンやアン・レッキーも好きです。

フランシス・アップリチャード Strong Swimmer 2023

編集部

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