生産する身体と社会。システムを変換するエネルギーに惹かれる。ミカ・ロッテンバーグインタビュー
不条理で魅惑的、リアルでフェティッシュ。現代の人間の身体性や社会のあり方を色鮮やかに描き出す映像作品によって、今、ニューヨークでもっとも熱い注目を集める若手の一人、ミカ・ロッテンバーグ。待望の日本初個展を機に、そのアートについて聞く。
生産する身体、映像の彫刻家
──東京での展覧会は、写真とドローイングによる構成になりましたね。
ロッテンバーグ 当初は、映像作品《メリーズ・チェリーズ》(2004)を見せる予定でした。タケニナガワのスペースに合わせ、新たな展示用のセットを組むつもりでしたが、日本の震災の影響で建設資材の入手が難しいとわかり、急遽、写真作品や映像のスタディ中心の構成に変えたんです。映像インスタレーションのほうは次回の個展で見せたいと思っています。出品作の一つ、「パフォーマンス・スチル」(2008)のシリーズは、もともとはファッション誌『W』の誌上プロジェクトとして制作したもので、登場人物も、私の映像作品でなじみのタレントたちが協力してくれています。
──体重300キロのクイーン・ラキや身長2メートルを超えるキャトですね。「タレント」というのは?
ロッテンバーグ 彼女たちは素人ではなく、自分たちの特異な体形を売り物にしているパフォーマーです。ラキの場合は、モデルやレスラーとして活躍し、プラスサイズの女性たちの声を代表する活動家でもある。インターネットで彼女の存在を知り、ぜひ一緒に仕事してみたいと思いました。
──太った女性の登場が多いのは、巨体にことさら興味があるということですか。ミカさんは逆にプチサイズかと思いますが。