日本の縮図「過去と未来の帰港地」で島の時間に身を委ね、自分自身と対話する。
さどの島銀河芸術祭2018

今年も夏から秋にかけて、日本全国で様々な展覧会や芸術祭が目白押し。作品との出会いはもちろん、その場所でしか見られない景色や食事も一緒に楽しめるスポットをピックアップ。第6回は、新潟県・佐渡ヶ島のさどの島銀河芸術祭2018を紹介する。

文=永峰美佳

佐渡在住の奥野栄次郎が1960年代から制作している浮きを使ったインスタレーション《岩谷口ブイアート》

 日本海側で最も大きな島・佐渡は、暖流と寒流が交わり、特異な文化や生態系が育まれてきた場所。椹木野衣、宇川直宏、小川弘幸の3氏をアドバイザーに迎え、2016年から市民有志が実験的に始めた「さどの島銀河芸術祭」が、今年も開催される。

2016年から常設されている寺田佳央《世阿弥の彼岸ボート ゴールデンクルージング》の
小屋からは棚田と海が望める

 芸術祭の理念でもある今回のテーマ「過去と未来の帰港地」は、佐渡がかつて北前船や交易船の寄港地であり、佐渡金山の積み出し港だったことに由来する。

 「日本地図を90度回転し、中国大陸を下にすると、日本海が湖のように見え、中央に佐渡島が浮かぶ。物資の寄港地は、文化の集積地でもありました。この文化の坩堝のような場所で、過去と未来を見つめながら芸術祭を巡ってほしい」とコミュニケーション・ディレクターの吉田モリト。

さどの島銀河芸術祭2016で行われた写真家で僧侶の梶井照陰による作品展

 伝説や民話が語り継がれ、30以上の能舞台が残されている佐渡。120地区の鬼太鼓をはじめ、祭りや芸能も盛んだ。作家たちは、島の自然や伝統文化からヒントを得て、失われつつある日本の原点をアートで表現する。島は東京23区の約1.5倍の広さがあり、交通手段はレンタカーか路線バス。車なら駆け足で1日、路線バスなら2日あればイベント以外の全作品を鑑賞可能だ。吉田は言う。

「佐渡には日本の原風景があり、タイムスリップしたかのような町並みも堪能できる。夜になれば満点の星空。喧騒から離れ、島の時間に身を委ね、自分自身について考える場になればと願っています」。

松尾芭蕉が「荒海や 佐渡に横たふ 天の川」と詠んだ佐渡の星空

コミュニケーション・ディレクター 吉田モリトさんに聞くみどころ

 作品は4エリアに設置されます。最北端のAエリアへはバスの便が少なく不便ですが、車窓に映る海岸線は絶景そのもの。Bエリアの両津港では、『わたしは真悟』に佐渡が描かれた縁で、楳図かずおの特別展示を行います。Cエリアは野生のトキが訪れる新穂の田園地帯で、佐渡米のおにぎりを提供する島カフェを開催。Dエリアは岩首の昇竜棚田を舞台に、アーティスト・∈Y∋が88人のシンバルを指揮します(島外のシンバラー募集中!)。昨年30周年を迎えた「アース・セレブレーション」、「大地の芸術祭」や「水と土の芸術祭」とも同時期に開催されているので、ぜひ併せてお出かけください!

楳図かずおの特別展示は『わたしは真悟』のアングレーム国際漫画祭・遺産部門、
JAPAN EXPO AWARD漫画部門・文化遺産賞の受賞を記念して開催

展示アーティスト

∈Y∋、イーサン・エステス、奥野栄次郎、大山健治、梶井照陰、佐渡アール・ブリュット、シャルル・ムンカ、juji、できやよい、デフ・パペットシアター・ひとみ、戸田かおり、DOMMUNE、本間秀昭、松崎友紀、吉田モリト ほか

『美術手帖』2018年8月号「この夏・秋に行きたい!全国アートスポットガイド」より))