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「パァーッと光が出て、キラキラッていろんなものが見えてくる。」(草間彌生美術館)開幕レポート。草間彌生の創作を「光」から読み解く

東京・新宿の草間彌生美術館で、草間彌生の創作活動を「光」という視点から捉え直す展覧会「パァーッと光が出て、キラキラッていろんなものが見えてくる。」が開幕した。会期は2027年1月31日まで。会場の様子をレポートする。

文・撮影=王崇橋(編集部)

展示風景より、手前の作品は日本初公開となる《天国への梯子》(2024)。床の作品は、《ナルシスの庭》(1966/2026) © YAYOI KUSAMA

 東京・新宿の草間彌生美術館で、展覧会「パァーッと光が出て、キラキラッていろんなものが見えてくる。」が開幕した。会期は2027年1月31日まで。

 本展は、今年8月に逝去した草間彌生の創作活動を「光」という視点から捉え直すもの。1950年代のドローイングから、代表作「無限の網」シリーズ、帰国後のコラージュや版画、晩年の大型絵画、そして鏡を用いたインスタレーションまで、多様な作品を通じて、草間が追求してきた光の表現とその変遷を紹介する。

 草間は幼少期から幻覚や幻聴を経験し、そこで目にしたイメージを絵に描き留めることを創作の原点としてきた。内面から生まれる光は、やがて絵画の表面に広がり、色彩や素材の輝き、さらには空間そのものを構成する要素へと発展していく。

 10月7日に行われた内覧会で、同館学芸員の山野井千晶は、本展について、草間の創作と深い関係を持ちながらも、これまで十分に注目されてこなかった「光」を切り口に、その作品世界を見つめ直す試みだと説明した。

幻覚から生まれた「内なる光」

 展示は1階ギャラリーから始まる。ここでは、金と銀のメタリックカラーを用いた大型絵画《星たちの消滅(金)》《星たちの消滅(銀)》(いずれも2010)と、うねるような形態を持つ立体作品《命》(2023)が鑑賞者を迎える。

展示風景より、手前は《命》(2023)。壁面の作品は《星たちの消滅(金)》、《星たちの消滅(銀)》(いずれも2010) © YAYOI KUSAMA

 《命》の表面には、金銀箔を用いたガラスタイルが施されており、光を受けることで見る位置によって異なる輝きを放つ。草間は1960年代のアメリカ滞在中、ソフトスカルプチャーに金色の塗料を使用して以来、メタリックカラーを好んで用いてきた。同じ金や銀でも、アクリル絵具とガラスタイルでは光の反射の具合が異なり、素材による表現の違いが浮かび上がる。

 2階ギャラリーでは、草間の創作の原点にある「内なる光」に焦点が当てられる。

 草間は自伝『無限の網 草間彌生自伝』のなかで、幼少期に野道を歩いていた際、暗くなり始めた空の山並みの稜線から突然光が現れ、様々なイメージが目に飛び込んできた経験を振り返っている。そして、そうした光景をスケッチブックに描き留めることで、幻覚によって生じた驚きや恐怖を鎮めていたという。山野井は、この体験に触れながら、草間にとって光はたんなる視覚的な効果ではなく、創作の原点そのものと深く結びついていると説明する。

1950年代のドローイング作品群 © YAYOI KUSAMA

 1950年代のドローイング《A SPIRIT》(1956)などには、暗闇のなかからイメージが光を帯びて浮かび上がるような表現が見られる。こうした光の表現は、1957年の渡米を経て大きく変化していく。その転換を示すのが、1958年に制作された《Infinity Nets(2)》だ。キャンバス全体を覆う無数の網目は、見る距離によって異なる視覚効果を生み、画面全体が淡く光を放つかのように見える。

展示風景より、右は《Infinity Nets(2)》(1958) © YAYOI KUSAMA

 山野井によれば、本作は黒い地の上に薄い白の層を重ねてグレーの下地をつくり、さらに白い網目を描いた重層的な構造を持つ。1959年に草間の作品を高く評価したドナルド・ジャッドも、網目の大きさによって画面が前進したり後退したりするように見える視覚効果に注目していた。

 草間は「無限の網」の着想のひとつとして、渡米時に飛行機から見下ろした、太平洋のきらめく海面を挙げている。本展では、1970年代以降に制作された海を主題とする色紙作品なども紹介され、金銀のエナメル塗料やパールを含む絵具によって、海の光が様々なかたちで表現されていることがわかる。

帰国後、1990年代に制作されたコラージュの作品群 © YAYOI KUSAMA

 1973年の帰国後、草間はコラージュや版画、小型立体作品にも表現を広げた。コラージュには、鳥や蝶、魚、植物などの写真が用いられ、見る角度によって色彩や輝きが変化する動植物の構造色にも関心が向けられている。いっぽう、ラメを用いた版画や立体作品では、素材そのものの光沢が表現の重要な要素となっている。

ラメを用いた版画や立体作品 © YAYOI KUSAMA

編集部

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