色彩が生み出す光
3階ギャラリーでは、1980年代から近年までに制作されたアクリル絵画を通じて、草間作品における色彩と光の関係を紹介する。
渡米初期の「無限の網」シリーズが白と黒を中心とする禁欲的な色彩を特徴としていたのに対し、1980年代以降の作品には、鮮烈な色彩が登場する。

その一例が、1988年に制作された《銀河系》だ。網目を背景に、水玉状のモチーフが画面全体に広がる本作では、青と黄色、ピンクと紫などの組み合わせによって、色彩の境界が明滅するような視覚効果が生み出されている。
山野井は、青と黄色のような補色関係にある色を組み合わせることで、それぞれの色が互いを強く引き立て、画面そのものが発光しているように見えると説明する。光源を用いることなく、色彩の相互作用によって鑑賞者の視覚のなかに光を生み出す表現だ。

こうした色彩への探求は、2009年に制作が始まった大型絵画シリーズ「わが永遠の魂」へと受け継がれていく。約900点に及ぶ同シリーズでは、水玉や網目といった草間を代表するモチーフに加え、細胞のような抽象形態や、目、顔、宇宙人を思わせるイメージなどが画面を埋め尽くす。
本展のメインビジュアルにも使用されている《命の消滅》(2011)では、黄色を基調とする画面に、目や靴、横顔、水玉、ジグザグ模様などが複雑に重なり合う。赤と緑、青と黄色といった補色の組み合わせが、画面に強い視覚的なエネルギーを与えている。

また、このシリーズには、金色や銀色、銅色のアクリル絵具を下地に用いた作品もある。見る角度によって変化する金属的な光沢と、鮮烈な色彩による視覚効果が重なり合うことで、草間独自の絵画空間が生み出されている。



















