企画展「綾錦 ―近代西陣が認めた染織の美―」(根津美術館)レポート。染織図案集『綾錦』からたどる、根津嘉一郎の隠れた染織コレクション
会場展示風景から、手前は《縫箔 茶地立涌雪持松模様》(桃山時代・17世紀、根津美術館) 『綾錦』(西陣織物館編)全11冊のうち3冊(江戸時代・19世紀、根津美術館) 《唐織 薄茶石地畳団花に三扇散模様》(江戸時代・19世紀、根津美術館)第6巻の表紙は、この着物の意匠を再構成したもの 『綾錦』の図案模写の版画。左は《縫箔 白地青海波に扇面散模様》から、右は《縫箔 紅浅葱段枝垂桜尾長鳥模様》から。驚嘆の再現力 手前は《厚板 紅格子段毘沙門亀甲に波輪龍模様》(江戸~明治時代・19世紀、根津美術館)。毘沙門天の甲冑に描かれた模様が由来の吉祥文様に有翼の龍が描かれる珍しい一作 《小袖 白綸子地石畳将棋模様》(江戸時代・17世紀、根津美術館)。モダンな意匠は左腰に余白を残す「寛文様式」。嘉一郎の購入時は綿入りの掻巻(かいまき)の状態だったが、2006年の修理で小袖に戻された 《腰巻 黒紅練緯地亀甲松竹梅折鶴模様》(江戸時代・18~19世紀、根津美術館)の精緻な亀甲紋はすべて手刺繍。その驚嘆の細かさはぜひ近くで 《振袖 綸子地御簾檜扇模様》(白と紅の2領)(江戸時代・19世紀 国立歴史民俗博物館)。大きなモティーフを大胆な構成に収めた婚礼衣装は野村正治郎旧蔵品。『綾錦』第2巻に掲載されている。もとは黒も揃う3領であったと考えられる 『綾錦』の図案模写の版画。残る白地、紅地の2領と鳳凰の向きが異なっている。失われた黒地を参考に仕立てたもの(京都国立博館蔵)の模写と考えられている 『古更紗帖』(インド17~18世紀、根津美術館)の展示 『古更紗帖』(インド17~18世紀、根津美術館)の展示 『綾錦』の図案模写の版画。実際の古裂と比べてみてほしい 2 / 16
編集部