同展でもとくに目玉と言えるのは、収蔵以来初のお披露目となる山口晃による《東京圖 1・0・4輪之段》だ。学生時代、岩佐又兵衛の《洛中洛外図屏風》に影響を受けて以来、都市鳥瞰図を現代ならではのかたちで描き出すことに心を砕いてきたという山口。東京を俯瞰する視点で描き出した本作では、皇居を中心として東京の今昔が描き出されている。


さらに、今回の展示では「聖地巡礼」の視野を海外にまで広げているのも大きなポイントだ。中国・蘇州の水郷を描いた竹内栖鳳による《城外風薫》は、その自然環境や人々の暮らしがみずみずしい筆致で表現されているのも印象的であった。ほかにも、平山郁夫の《ロンドン霧のタワァ・ブリッジ》やエジプトのピラミッドを描いた千住博による《ピラミッド「遺跡」》なども展示されている。


第2弾となる今回は、日本各地・海外の名所から山口晃による過去と現代をつなぐ都市空間に至るまで、幅広い解釈でとらえられた「聖地巡礼」の旅をすることができる展示であった。あわせて展示されている写真も、絵が描かれた角度や場所などを考察しながら選定されており、見比べながらの鑑賞も楽しめるだろう。

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