今回のイベントの大きな価値は、巨大なアートフェアでは紹介されることが少ないコレクティブの活動を、一同に紹介する機会をつくり出した点にある。マーケットには出てきづらい作品も手がける彼らの活動は、ジャンルも軽々と乗り越え多様に展開しているが、活動拠点外での発表の場はまだ少ない。そんな作品や活動が紹介される本イベントは、社会における持続的なアートとの付き合い方を考えるために、大変貴重な機会だと言えるだろう。



各参加団体がそれぞれのブースを出すアートフェア形式の本イベントだが、従来のアートフェアの雰囲気と大きく異なるように感じられるのは、開放的な会場づくりに鍵がある。
白壁でブースを区切る方法はよく見るが、本イベントにおいては、単管パイプとワイヤーメッシュのみで仕切っており、開放感を感じさせる空間となっている。事実、単管パイプ越しに隣のブース内も見えるため、搬入設営時には、自然とコレクティブ同士が声をかけ合い、互いに作業を手伝う様子も見られたという。会場では、各地域から集まったコレクティブメンバー同士が互いにコミュニケーションをとっており、さらに来場者も巻き込みながら交流する姿が多く見られた。

本イベントは、オルタナティブなアートシーンにおけるアジアの現在を知るだけでなく、言語や文化をこえて、アートを介したそれぞれの交流により生まれる化学反応を、直に感じられる機会となっている。
なお会期中には、関連イベントとして、出展者によるクロストークや、伊藤亜紗(美学者)を迎えたゲストトーク、映像作品の上映、アーティストの花形槙、井口美尚、橋本聡、吉川陽一郎によるパフォーマンス(花形のパフォーマンスはVIP dayに実施)も開催される。その時その空間でしか生まれない熱気を、ぜひ会場で体感してほしい。



















