「空へと / In Motion with the Sky」(マイナビアートスクエア)開幕レポート

マイナビアートスクエアで「空へと / In Motion with the Sky マイナビアートスクエアアワード2025 ファイナリスト展 特別ゲストアーティスト:中島 伽耶子」が開幕した。会期は9月27日まで。会場の様子をレポートする。

文・撮影=安原真広(ウェブ版「美術手帖」副編集長)

展示風景より、中島伽耶子《黄色い壁》

 東京・東銀座のマイナビアートスクエアで、「空へと / In Motion with the Sky マイナビアートスクエアアワード2025 ファイナリスト展 特別ゲストアーティスト:中島 伽耶子」が開幕した。会期は9月27日まで。

 マイナビアートスクエアは、初の試みとして学生の作品や活動を顕彰するアワード「マイナビアートスクエアアワード」を実施している。本展は、このアワードの大学生部門で選ばれた江口湖夏、島田清夏と、高校生以下部門で選ばれた朝田明沙、村上翔哉に、ゲストアーティストとして中島伽耶子を加えた展覧会となる。キュレーションは国際芸術センター青森 [ACAC] 主任学芸員の慶野結香が務めた。

展示風景より、中島伽耶子《黄色い壁》(2025)と島田清夏の映像作品

 ゲストアーティストである中島は、境界や壁をモチーフに作品制作をしてきた。本展でも中島は、展示空間の中央に黄色い壁面をしつらえた作品《黄色い壁》を制作。これはフェミニズム文学の古典とされる、シャーロット・パーキンス・ギルマンの『黄色い壁』(1892)と連関するものであり、その壁紙には近年中島がリサーチをしてきた田中敦子の電気配線デッサンをモチーフとした柄があしらわれている。他者を阻む壁であるとともに、内部に入り身を守ることもできる壁に込められた重層的な文脈に思いを馳せることができるだろう。なお、この壁にはインターホンがひとつ、設置されている。これを押すと何が起こるのか、それはぜひ現地でたしかめてもらいたい。

展示風景より、中島伽耶子《黄色い壁》