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「表現者は街に潜伏している そして、ショッピングセンターは街そのものである」(パープルーム ダイエー海老名店)会場レポート【3/3ページ】

 本ショッピングセンターが位置する神奈川県央地域の風景を描いたゆかりの作家たちの作品を特集した壁面もある。佐藤遥加が描く道端の植物や、新関創之介による朴訥な街の散歩道、影島晋平がとらえた相模原の丘陵地の構造など、美術家たちの目を通してこの郊外に形成された街を再発見できる。

展示風景より
展示風景より

 奥の展示室では、版画をテーマにした作品群を紹介している。梅沢和木は過去の版画作家からの引用を散りばめた新作を発表。さらに版画家である父・梅沢和雄の作品も並べられており、版画を軸につながった作家たちの系譜について思いを馳せることができるだろう。

展示風景より

 90年代中ごろまではイラストレーターとして活躍し、その後「方法絵画」や人工知能美学の研究といったコンセプチュアルな活動を続けてきた美術家・中ザワヒデキ。本展にはその中ザワが描いた高校時代の絵画《夕暮れの赤い室内》も展示されている。20世紀初頭の絵画からの強い影響とともに、迫力ある雰囲気を漂わせる本作は中ザワの知られざる初期の活動を知る手がかりになる。

展示風景より

 これまでパープルームが培ってきた思想と関係を新たな場所に持ち込まれている。同時に、ダイエー海老名店を訪れた人が立ち寄ったときの様々な出会いを演出するための潤沢なラインナップを用意しようという、パープルームらしいサービス精神を感じられる展覧会となっている。

編集部