今年のビエンナーレでは、それぞれ異なる背景や立場を持つ5人の女性キュレーターを迎え、タイトル「to carry」に基づいて、異なる時代や地域、あるいはアプローチを持つアーティストを選定し、コミッションワークを含む多様な形式の作品を展開している。
5人のキュレーターはキュレーションステートメントで、今回のタイトル「to carry」は「多義的で無限の可能性を秘めた命題である」と説明している。「家を運ぶ」「歴史を運ぶ」「傷を運ぶ」「抵抗を運ぶ」など。例えば、ジャカルタを拠点とするキュレーター、アリア・スワスティカは、権力、詩、政治、そして女性の知識の重要性に注目し、ロンドンのCubitt Galleryやサーペンタイン・ギャラリーのキュレーターであるアマル・カラフは、抵抗するための儀式的な作品を提案している。

ニュージーランド出身で、近現代のマオリと先住民族の芸術を専門とするキュレーターのミーガン・タマティ・ケネルは、土地や無常、未来の可能性などに関するプロジェクトを展開。スリランカの現代美術フェスティバル「コロンボスコープ」のアーティスティック・ディレクターを務めるナターシャ・ジンワラは、インド洋の沿岸地域とシャルジャの水源を、先祖の記憶や場所、音の記録を保存する重要な場所として取り上げている。また、イスタンブール拠点のキュレーター、ゼイネプ・オズは、私たちが関わる社会的・経済的なシステムに、技術や科学の急速な変化がどのように影響を与えたかを考察している。
フール・アル・カシミはビエンナーレ開幕前の記者会見で次のように語った。「ビエンナーレに進むと、時折、異なるキュレーターのプロジェクトがひとつの会場で交差する場面に出会うことがある。また、一部の会場では、ひとりのキュレーターによる物語が空間全体に広がっていく。これらが一緒になり、ビエンナーレの展示は、異なる視点、地理、言語によってかたちづくられた、絶え間なく進化する物語の集合体となり、それぞれが独自の歴史と特徴を築いていく」。




















