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「近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は」(水戸芸術館現代美術ギャラリー)開幕レポート【5/5ページ】

 近藤が抱き合う姿を多く描いてきた背景にも、植物を主題に選んだそうした動機とシンクロするものを感じられる。

展示風景より
展示風景より

 最後の展示室に向かうと、国際芸術祭「あいち 2022」で発表された《ともだちになるためにぼくらはここにいるんだよ》など4点が、白い壁面の余白を活用しながら展示されている。

展示風景より
展示風景より《ともだちになるためにぼくらはここにいるんだよ》(2022、森美術館蔵)

 この作品を制作した2022年2月、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まった。戦争への憂いを抱きながら筆を取っていた近藤は、戦争を報じるニュースを見た子供のふとしたつぶやきから、悲しい世界の向こうにある希望を描くことを決めたのだという。太陽は片目で泣いてはいるが、皆を照らし、もう片方の目では笑っている。 

展示風景より、《Planets》(2022、個人蔵)

 展示室を抜けたところに、抱き合う親子を描いた《Planets》を展示。冒頭に展示されていた新作《ザ・オーケストラ》であらゆる生き物がともに音楽を奏でているように、展示全体を通して、平和や共生への思いが伝わってくる。色とかたちに込められた生命感、躍動感を全身で体感し、そんな作家の思いへの共感が内部に湧き上がってくるような力に満ちた個展に足を運んで欲しい。絵具で描かれた物質感を伴う実際の作品からは、イメージとはまた異なるエネルギーを感じられるはずだ。

編集部

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