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ホックニーが大きな影響を受けた作品とは? 時を超えた共演が実現

デイヴィッド・ホックニーの代表作である《マイ・ペアレンツ》と《衝立の上の絵を観ている》(原題:Looking at Pictures on a Screen)。その背景に描き込まれているピエロ・デラ・フランシェスカによる15世紀の作品《キリストの洗礼》を並べてみせる興味深いエキシビション「ホックニーとピエロ:ロンガー・ルック」がロンドンのナショナル・ギャラリーで開催中だ。

文=坂本みゆき

展示風景より撮影=筆者

時を超越して並ぶ、ホックニーとピエロ

 「ホックニーとピエロ:ロンガー・ルック」は、これまでのホックニーが全作家人生をかけてナショナル・ギャラリーと深い関わりを持ち続けてきたからこそ実現したエキシビションと言って過言ではないだろう。彼は1955年の18歳のときに初めてここを訪れ、以来足繁く通って多くの名作に学びながら、とくにピエロ・デラ・フランチェスカの《キリストの洗礼》から多大なインスピレーションを受けた。ホックニーは同作を「宝石のような貴重な作品」としている。

デイヴィッド・ホックニーと《マイ・ペアレンツ》(1977)
© National Portrait Gallery, London

 展示スペースに入ると、かつてホックニーが「毎日1時間でも眺めていられる」と語った《キリストの洗礼》を中心に、向かって右には《マイ・ペアレンツ》、左には《衝立の上の絵を観ている》が飾られている。ピエロは遠近法に関する論文を書いた初めての画家であり、《キリストの洗礼》では数学的な原理を用いて15世紀に描かれたとは思えない視覚的バランスにも卓越した作品に仕上げた。そしてまたホックニーの2作品も、その原理に多大な影響を受けているのがはっきりと感じられる。

ピエロ・デラ・フランチェスカ キリストの洗礼 1437-1445
© The National Gallery, London

2つの作品に込められた、アートへの深いリスペクト

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