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吉岡徳仁が生み出す「炎の彫刻」。新作となるガラスのトーチと炬火台が初披露

デザイナーでアーティストの吉岡徳仁による新作発表展「吉岡徳仁 FLAME ガラスのトーチとモニュメント」が東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で開幕した。会期は11月5日まで(※10月20日 情報を一部追加しました)。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より、吉岡徳仁《Glass Cauldron|ガラスの炬火台》(2022) 点火式の様子

 デザインや建築、アートの領域で国際的に活動するデザイナー・アーティストの吉岡徳仁(1967〜)。その新作発表展となる「吉岡徳仁 FLAME ガラスのトーチとモニュメント」が東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3で開幕した。会期は11月5日まで。

展示風景より
展示風景より、吉岡徳仁《Water Block|ウォーターブロック》(2002) 水のかたまりをモチーフにデザインされた吉岡の代表作。2011年より、パリのオルセー美術館の印象派ギャラリーにて常設展示されている。光を透過し落ちる影にも注目したい

 吉岡による近年でもっとも有名なプロジェクトと言えば、TOKYO 2020 オリンピックのために制作された桜モチーフの「聖火リレートーチ」ではないだろうか。本展では、そんな吉岡による、炎から放たれる「光」に着目したふたつの新作が初お披露目となっている。

 新作のひとつは、《ガラスのトーチ》(2022)だ。透明のトーチは炎が空中に浮遊するように設計されており、全体を二重構造にすることで熱が分散できるほか、空気を通して燃焼を持続させることが可能なのだという。

展示風景より、吉岡徳仁《Glass Torch|ガラスのトーチ》(2022)

 もうひとつの新作である《ガラスの炬火台》(2022)は屋外に展示されている。こちらもトーチ同様に点火をすると炎が浮遊するように見える設計となっており、囲いの隙間から風が吹き込むことでトルネードの炎を生み出すという。ともに美しい造形でありながらも、炎そのものを際立たせるためのデザインである点が興味深い。

 これらは2024年に開催される「国民スポーツ大会(旧国体)SAGA2024」のセレモニーで使用される予定となっている。

展示風景より、吉岡徳仁《Glass Cauldron|ガラスの炬火台》(2022)

 また、採火のためのレンズもギャラリー内に展示されている。中央のレンズで太陽光を集めることで採火できるといった仕組みだ。

展示風景より、吉岡徳仁《Lens for Fire Extraction|採火のためのレンズ》(2022)
展示風景より、吉岡徳仁によるレクチャー

 点火式のためのユニフォームはMiyake Design Studioによるデザインだ。着用時は立体的なシルエットとなり、シルバーの生地はトーチの炎を反射し、まるで炎を纏うような衣服へと変化する。

展示風景より、Miyake Design Studio《Clothing for the Flame Ceremony|炎のセレモニーのための衣服》(2023)
展示風景より

 吉岡はこれらの新作発表に際し、次のように語った。「新しいことに挑戦するのが好きだ。リスクも伴うが、そのなかで素晴らしいものを発見し、感動したい。そうできるものをつくりたいとつねに考えている。オリンピックの際もこのような経験ができたが、もうひとつイメージとしてあったのが今回の新作ふたつだ。実現のためには多くの実験を繰り返し、数年にも及んだ」。

展示風景より、試作品の数々。職人によってひとつずつつくり上げられている

 開幕の前日には、炬火台への点火式も実施された。吉岡は「1番見てほしいのは炎の造形」であると語っている。会期中は、10月7日、28日、11月3日の夕方から夜にかけて点灯イベントが実施予定のため、足を運ぶ際はぜひこちらの特別イベントにも参加してほしい。

展示風景より、吉岡徳仁《Glass Cauldron|ガラスの炬火台》(2022) 点火式の様子

編集部

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