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注目シーンは鉄雄の悪夢「ナイト・ベア」。「大友克洋全集 AKIRAセル画展」で600点にも及ぶ貴重なセル画を見る

大友克洋が原作・監督を努めた劇場版アニメーション映画『AKIRA』のセル画展が東京・池袋のMixalive TOKYOで8月31日まで開催中。今回注目されるのは、鉄雄の悪夢に登場する「ナイト・ベア」のシーンにおける貴重なセル画の数々だ。

文・撮影=三澤麦(ウェブ版「美術手帖」編集部)

展示風景より

 マンガ家、映画監督として現在においても様々な作品を世に送り出し続けている大友克洋。その代表作で、1988年に公開された劇場版アニメーション映画『AKIRA』のセル画展が東京・池袋のMixalive TOKYOで8月31日まで開催中だ。

 セル画とは、セルアニメの制作時に用いられていた「セル」という透明シートに描かれた絵。昨今、アメリカではセル画に特化したアートオークションも開催されるなど、アートマーケットにおいてもその価値に注目が集まっている。

 本展は、講談社より刊行されている大友自らが企画・プロデュースする全集『OTOMO THE COMPLETE WORKS』第1期の「絵コンテ集」を含む映画関連資料から、「原画・レイアウト集」にも収録されている大友私蔵のセル画や貴重な直筆レイアウトを、大友選定のもと約600点以上にわたって展示・初公開するものだ。

展示風景より

 会場は「NEO TOKYO」「NIGHT-MARE」「CATASTROPHE」の全3部構成。「NEO TOKYO」では、物語の舞台となる「ネオ東京」の都市風景や登場人物の設定画から、作中序盤のセル画の数々、そして大友によるカラー原画までが展示されている。

展示風景より
展示風景より

 「NIGHT-MARE」では、鉄雄が悪夢に登場するくまのぬいぐるみ「ナイト・ベア」に襲われるシーンの資料が展示。たくさんのおもちゃやぬいぐるみが集合し、ナイト・ベアが生み出されるシーンの細やかな描写は本展の見どころとなっている。

展示風景より
展示風景より

 さらに、このシーンはフォトスポットとして会場に再現されている。可愛らしくも恐ろしいナイト・ベアの出現に、鑑賞者は鉄雄同様うなされてしまうかもしれない。

展示風景より

 「CATASTROPHE」では、鉄雄の覚醒・暴走シーンやアキラの登場、そして崩壊するネオ東京のセル画が所狭しと展示されている。クライマックスの熱量を伝える描き込みやその資料の多さにも注目してほしい。

展示風景より
展示風景より
展示風景より

 なお、2019年には『AKIRA』の新アニメ化や、近未来の建設途上のスペースコロニーを舞台にした長編冒険物語『ORBITAL ERA』のプロジェクトも明らかとなっている。今後の大友によるプロジェクトからも目が離せそうにない。

展示風景より

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