フランスで注目の若手アーティスト。ポル・タビュレが描く世界観とは?
パリで現代アートシーンをチェックする際に欠かせない場所となった「ラファイエット・アンティシパシヨン」では、1997年生まれのアーティスト、ポル・タビュレによる個展「OPERA III: ZOO “The Day of Heaven and Hell”」(〜9月3日)が開催中だ。多領域から注目される同施設と、そこで紹介される新進アーティストの動向をリポートする。
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撮影=筆者
ラファイエット・アンティシパシヨン
「ラファイエット・アンティシパシヨン」はパリの中心地にある現代アートセンター。近隣にはパリ市庁舎やポンピドゥー・センターが並ぶ。外観は19世紀末に建てられた地上7階建の一見目立たない近代建築だが、棟内部の改装をOMAのレム・コールハースが手がけ、とくにその中央にある875平米、高さ19メートルの「展示塔」と呼ばれる空間に可動式天井床を実装、49通りのスペースを展開できる。この機構を見にくるだけでも面白いが、現在良質の企画展は無料で、気の利いたデザインのカフェがあり、音楽やパフォーマンスイベントのチケットもすぐ完売する。母体は、1893年にパリで創業し、1912年にはオペラ・ガルニエの裏に現在も続く本店を構え、今日フランスを代表する百貨店チェーンのひとつとなった「ギャラリー・ラファイエット」のグループ企業の財団と、同社の株式を有しアートコレクターでもあるムーラン家の資本による。2013年以降、彼らの現代クリエーションへの支援活動を統合し、コレクションの形成の追求として、先鋭的なアーティストへの制作を促進し、より多くの人々に開かれた発表の場を提供する同施設を2018年にオープンさせた。
ちなみに同百貨店は、1946年にニコラ・ド・スタールやアルベルト・ジャコメッティも参加した「サロン・ド・メ」を開催、78年にはニキ・ド・サンファルやジャン・デュビュッフェといった仏人アーティストを紹介するグループ展を開催している。この創立者の末裔のひとりギヨーム・ホウゼが家業に加わると、2005年から本店での展示スペース「ギャラリー・デ・ギャラリー・ラファイエット」を運営、とくにフランスの現代アーティストの紹介に努めた。またアートフェアFIACでは、2009年に「ラファイエット・セクター」を創設し、若手ギャラリーの出店を援助してきた。理事長を務めるアンティシパシヨンでは、アーティストの作品制作や特殊印刷などの要望にも対応できる各種スタジオとスタッフを加え、レジデンス事業も行っている。
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撮影=筆者
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© Delfiño Sisto Legnani & Marco Cappelletti