2月9日に90歳の誕生日を迎えたゲルハルト・リヒター。その誕生日に合わせ、ベルリンの新ナショナル・ギャラリーでリヒターのアーティストブックの展覧会が始まった。
これまであまり展示されることがなかった1960年代のカタログから新聞までを体系的に並べ、リヒターの“目“、ものの見方を考察する興味深い展示となっている。
「絵画について語るということは難しいだけではなく、もしかしたら意味のないことかもしれない」。リヒターは、1962年のインタビューでこう語っている。「なぜなら、言葉でつかめることしか言葉にできないし、それは絵画とは全く関係ないことだから」と。しかし観客は知りたいと思ってしまう。リヒターはどのように作品と対峙し何を見ているのか。
ベルリンの新ナショナルギャラリーで5月29日まで開催されている「ゲルハルト・リヒター アーティストブック」は、1960年代からの30点のアーティストブックやカタログ、新聞などを通じて、この類い稀なアーティストのものの見方、コミュニケーションのシステムをとらえようとする展覧会だ。展覧会は「アーティストのイメージ」「偶然のイメージ」「写真のイメージ」という3つのテーマに沿って分けられている。