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フランシス・ベーコンが追求した人間の本質とは。ロンドンで開催中の「人と獣」展から考える

フランシス・ベーコンがこの世を去ってから30年が経ついま、ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツにて14年ぶりに展示が行われる。ベーコンの友人であったマイケル・ペピアットがキュレーターとして参加し、「人と獣」をテーマに初期の作品から晩年のものまでが並ぶ。

文=加藤真由

展示風景より、フランシス・ベーコン「The Black Triptychs」シリーズ(1972) Photo by David Parry

 動物という存在を追い求めて南アフリカを旅したり、野生動物に関する本を大量に収集したり、フランシス・ベーコンは動物の行動に生涯魅了され続けた。ロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツで開催されている「人と獣」展は、ベーコンが動物に対して抱いた深い関心を紐解き、またその関心が彼の究極の主題である人間の本質にどう関係していったのかを初公開を含む45点からたどるものだ。

 幼少期に第一次世界大戦が起こり、キャリア初期には第二次世界大戦を経験したベーコン。人間がおそろしいまでに過激な暴力をふるう様子を目にし、まさに1944年から46年のあいだに制作した作品から本展は始まる。歪んだ人間を描いた《Figure Study》や、人でも野獣でもない幽霊のようなかたちをした《FURY》などだ。

フランシス・ベーコン Man with Dog 1953
Collection Albright-Knox Art Gallery, Buffalo, New York. Gift of Seymour H. Knox, Jr., 1955. K1955:3
© The Estate of Francis Bacon. All rights reserved, DACS/Artimage 2021. Photo by Prudence Cuming Associates Ltd

 そこから40年代後半から50年代にかけて、ベーコンは人間と人間でない動物の境界線を探求していく。1949年の初めて個展に向けて、6点からなる連作絵画「頭部」を制作し、そのうちの《Head I》《Head IV》《Head VI》が今回展示された。なんの生き物なのかもわからないポートレートは、私たちに動物界におけるヒトの優越性について問いかける。

フランシス・ベーコン Head I 1948
Lent by The Metropolitan Museum of Art, Bequest of Richard S. Zeisler, 2007 (2007.247.1)
© The Estate of Francis Bacon. All rights reserved, DACS/Artimage 2021. Photo by Prudence Cuming Associates Ltd
フランシス・ベーコン Head VI 1949
Arts Council Collection, Southbank Centre, London
© The Estate of Francis Bacon. All rights reserved, DACS/Artimage 2021. Photo by Prudence Cuming Associates Ltd

人間の動物としての本能に迫る

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