千葉市の市政100周年を記念して開催されている、千葉市初の芸術祭「千の葉の芸術祭」。そのひとつとして、写真芸術展「CHIBA FOTO」が8月21日に開幕した。会期は9月12日まで。
「千の葉の芸術祭」は、千葉市の自然や歴史に根差した固有の文化と、技術の進展によって生まれた新しい文化を再認識し、広く発信する機会として開催されている芸術祭。写真表現に触れることを通して世界をとらえなおす「写真芸術展」、伝統的文化とその革新へ挑戦的に取り組む「伝統文化・新しい文化の発信」、感じながら考え、創造することについて学ぶ場「体験・創造ワークショップ」の3部門で構成されており、「CHIBA FOTO」はその柱のひとつとなる。
「CHIBA FOTO」では、宇佐美雅浩、川内倫子、清水裕貴、新井 卓、吉田志穂、蔵 真墨、佐藤信太郎、本城直季、北井一夫、楢橋朝子、金川晋吾、横湯久美が参加。千葉の現在をとらえた作品から、千葉の土地の歴史を掘り下げた作品などがユニークベニューで展示される。
会場となっているのは、市民にとって馴染み深い「そごう千葉店」や、千葉市美術館、あるいは千葉公園内にある茶室などの13会場。
例えば川内倫子は、2016年に出産と子育てをするなかで巡り合った千葉の土地での新しい生活の断片を、子供の成長と合わせて描き出した写真と映像作品を展示。会場となるのは一軒家を千葉市中央コミュニティセンター 松波分室だ。
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4×5判カメラのアオリを利用し、現実の人物や都市風景などをまるでミニチュアのような風景に仕立て上げるスタイルで知られる本城直季は、空から撮影した千葉市の街、工業地帯、野球場、学校を被写体とした作品群を千葉市美術館で発表。小学校でのコマ撮りをつなげた映像作品にも注目したい。
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自ら撮影した写真とインターネット上に存在する様々な画像を用いた作品を制作する吉田志穂は、千葉公園内の蓮華亭で作品を展示。千葉市にある加曽利貝塚をきっかけに縄文文化へと深く潜り込み、歴史から受けたインスピレーションを見せる。
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第一回木村伊兵衛写真賞受賞者であり、80年代に船橋市の市井の人々を撮影した『フナバシストーリー』を発表した北井一夫は、現在の千葉市内の様子をデジタルカメラで撮影した新作「千葉 街路樹」を千葉市美術館で発表。また、過去の貴重なヴィンテージ・プリントやカメラ雑誌、ポスター、50冊近い写真集とその版下や刷り出し原稿までが展示され、北井の活動を俯瞰できる。
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また、北井一夫の半世紀以上に及ぶ仕事の道のりで生み出された貴重なヴィンテージ・プリントのみならず、カメラ雑誌をはじめ、ポスター、カレンダーといった印刷物。そして50冊近い写真集とその版下や刷り出し原稿まで、様々なコンディションの写真が展示
このほか、千葉市に暮らす人々を撮り下ろした蔵真墨の「千の葉のひとびと」(千葉市美術館)など多種多様な作品がラインナップされているCHIBA FOTO。すべて無料となっているので、千葉の街とともに作品を楽しみたい。
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