芥川賞作家・村田沙耶香の小説世界が展覧会に。デヴィッド・シュリグリーと金氏徹平がつくりあげた展覧会
芥川賞作家・村田沙耶香の世界観を、世界的アーティストであるデヴィッド・シュリグリーと金氏徹平のふたりが表現した展覧会「村田沙耶香のユートピア_〝正常〟の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平」が、東京・表参道のGYRE GALLERYで開幕した。会期は10月17日まで。
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小説『コンビニ人間』(2016)で芥川賞を受賞した村田沙耶香。その「ユートピア」という世界観を、国際的に活躍するアーティストであるデヴィッド・シュリグリーと金氏徹平のふたりが対話によって浮かび上がらせる展覧会「村田沙耶香のユートピア_〝正常〟の構造と暴力 ダイアローグ デヴィッド・シュリグリー ≡ 金氏徹平」が、東京・表参道のGYRE GALLERYで開幕した。会期は10月17日まで。
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本展では、完璧なマニュアルによってコンビニエンスストアで働いているときだけ自らが「世界の正常な部品」になったと安心できる主人公の日常を描いた 『コンビニ人間』、人工授精での出産が当たり前になり、セックスや家族という概念がなくなりつつある世界を描いた『消滅世界』(2015)、そして「正常は発狂の一種」という強い言葉を主人公が発する『生命式』(2019)の3作品を題材に、シュリグリーと金氏が作品を制作した。
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シュリグリーは、日常風景を軽妙に描写したドローイングをはじめ、アニメーションや立体、写真など、多様な作品を手がけるアーティストとして知られる。2013年にはイギリスの権威ある現代美術のアワード「ターナー賞」にノミネートされ、またロンドン・トラファルガー広場のパブリックアートプロジェクト「第4の台座」で発表した「立てた親指」をかたどった約7メートルのブロンズ彫刻《リアリー・グッド》は大きな話題を呼んだ。
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いっぽうの金氏は、フィギュアや雑貨、あるいは日用品など、日常的なイメージを持つオブジェクトをコラージュした立体作品やインスタレーションなどで知られ、11年以降は「チェルフィッチュ」などの舞台美術も手がけている。村田の『コンビニ人間』の書籍カバーに作品を提供したのも金氏だ。
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会場には、シュリグリーが小説を読んで描き下ろした複数の絵画作品と、金氏による立体作品が混在。また、村田の小説から抜粋された言葉が展示室の壁にアクセントを与える。加えて注目したいのは村田が学生時代に描き、今回が初公開となる油彩画4点とドローイング1点だ。
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本展を企画したスクールデレック芸術社会学研究所所長の飯田高誉は、「村田にとっては、小説と絵画は表現方法こそ異なるものの創作活動という点ではまったく同一の根茎から発しているように見える」と評する。
加えて、会場には村田による創作ノートも展示。金氏とシュリグリーのダイアローグ、そしてこのふたりと村田のダイアローグを会場で堪能したい。
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