今年9月、アートギャラリーの集積地として知られる東京・天王洲の「TERRADA ART COMPLEX」に隣接するかたちでオープンした「TERRADA ART COMPLEXII」。ここを舞台とする新たなアートフェア「artTNZ」が開幕した。会期は9月18日〜21日。
「artTNZ」は、TERRADA ART COMPLEXIIの4階と3階を会場として使用し、計42軒のギャラリーが出展。主な展示の様子をピックアップして紹介する。
「Tセクション」と名付けられた4階では14ギャラリーがブースを開設。ここで展示するTARO NASUは、ニューヨークを拠点に活動するイギリス出身のアーティスト、リアム・ギリックを特集している。自身の著書とも連関する壁面のテキストをはじめ、強い印象を残す大型作品が展示されており、訪れた人々の注目を集めていた。
MAHO KUBOTA GALLERYでは、古武家賢太郎、多田圭佑、Atsushi Kaga、安井鷹之介、武田鉄平の新作を中心に展示。なかでも石膏と布を使った独特の質感を持つふたりの人物で構成された安井の立体作品が、強い存在感を示す。
GALLERY TARGETは、ファッションブランド「UNDERCOVER」のデザイナー・高橋盾による、ドレス、ぬいぐるみ、ランプ、ジュエリーといった素材を組み合わせた立体作品「GRACE」シリーズを大きく紹介。また、8月のライブ配信型オークション「SBI Art Auction Live Stream」でも予想落札価格を大幅に上回る落札を記録して人気の高まりを感じさせた、花井祐介の作品も展示される。
4階「Tセクション」ではこのほか、タカ・イシイギャラリー、アートフロントギャラリー、104GALERIE、Contemporary HEIS、KOSAKU KANECHIKA、GALLERY SIDE 2、Sho+1、imura art gallery、小山登美夫ギャラリー、たけだ美術、ユミコチバ アソシエイツが出展。なお、4階の展示の様子は、artTNZのウェブサイトにてVRでの展示も実施される。
3階の「Aセクション」では、28ギャラリーがブースを構える。大阪より参加したアートコートギャラリーは、新平誠洙の作品の個展を開催。反射、透過、屈折といった光学現象と知覚効果を用いた、ピアニストのビル・エヴァンス とグレン・グールドの演奏シーンをモチーフとする新作を発表する。
LOKO GALLERYは、シェアアトリエ「国立奥多摩美術館」に参加する彫刻家であり、「ファミリーレストラン」のペンネームで漫画家としても活躍する永畑智大の作品を展示。彫刻と漫画のドッキングを試みた個性的なインスタレーションが展示されている。
SH ART PROJECTは、福岡を拠点に活動するアーティスト・Backside works.を大きく取り上げ、「ヒロイン」をコンセプトとした作品「VALIANT GIRL」シリーズの展示を実施。今年8月より開催された個展でも多くのコレクターの注目を集めたシリーズが、フェアでも展開される。
3階「Aセクション」はほかにもMORI YU GALLERY、橘画廊、サイギャラリー、LAD GALLERY、gallery21yo-j、ギャラリー ノマル、DMOARTS、FINCH ARTS、Gallery 38、GALLERY 麟、Yoshiaki Inoue Gallery、画廊香月、STANDING PINE、レントゲン藝術研究所準備室、MARUEIDO JAPAN、MEM、KOKI ARTS、TEZUKAYAMA GALLERY、GALLERY KOGURE、TOMOHIKO YOSHINO GALLERY、AIN SOPH DISPATCH、the three konohana、hpgrp GALLERY TOKYO、YOD Gallery、COHJU contemporary artなど28ギャラリーが出展。3階の展示の様子は、artTNZのウェブサイトで、360度カメラによって紹介されている。
また、2階ではアートフェアに連動するかたちで、すでにTERRADA ART COMPLEXIIにオープンしているgalllery UGとTOKYO INTERNATIONAL GALLERが、それぞれが個展を開催中の野原邦彦とマイケル・ホーの作品を共用スペースでも展示。大型の立体作品をギャラリーでの個展とともに楽しむことが可能となっている。
なお、同フェアは新型コロナウイルスの影響により完全予約登録制となっている。入場申し込みの受け付けはすでに終了しているが、ウェブサイト上ではVRや360度カメラなどでの観覧も可能。