再開発の進む渋谷を舞台とするアート・プロジェクト「SHIBUYA / 森山大道 / NEXT GEN」。写真家・森山大道と若手クリエイター(NEXT GEN)が共演する「STREET」「UNDERGROUND」「公募作品展」の3展がスタートした。
「UNDERGROUND」の舞台となるのは、東横線ヒカリエ改札内地下4階のスペース。建築家・安藤忠雄のデザインによるこのスペースでは森山と映像作家の山田智和、そして公募で選ばれた伊藤安鐘、山口大輝による「2019 SHIBUYA」をテーマとした作品を見ることができる。
森山はスクランブル交差点やセンター街の雑踏など、変わりゆく渋谷の街を撮り下ろした新作をモニターで発表。いっぽう山田は、これまでカメラが入ったことのない渋谷駅東口の地下や桜丘地区など再開発が進む渋谷を撮影した映像と、信号機や街灯などを組み合わせたインスタレーションを展開している。
サカナクションや水曜日のカンパネラ、米津玄師のミュージックビデオが高く評価され、ブランド広告やファッション誌のヴィジュアル撮影なども手がける山田。尊敬する森山との展示については「ありえないことが実現しました。街の断片があるような空間になったと思うので、歩き回って見てほしいです」とコメントした。
そして「STREET」は、渋谷の路地裏63ヶ所を森山の写真がジャックする試み。代表的なシリーズ「犬の街・三沢」をはじめ、新旧の渋谷を撮影したものを含む147作品を見ることができる。
80年代には「room・801」というギャラリーをオープンしたほか、自宅兼仕事場を持つなど渋谷には思い入れがあるという森山。自身初の大規模な野外展となる本展について「街で撮ったものは街に返したいという気持ちがあり、それを今回実現できて嬉しいです。通りすがりに写真を見て、一瞬のショックのようなものを感じてもらえれば」と語った。
加えて「公募作品展」は、渋谷モディ1階のソニースクエア渋谷プロジェクトで開催。「UNDERGROUND」に参加の2名と同じく公募で選出された大西祐司、黄志逍(コウ・シショウ)、嶋田鉄馬、中林浩人、バルテック・マスラク、楊雨謡(ヨウ・ウヨウ)が作品を展示する。また、同ビル壁面の街頭ビジョンでも8名の作品が放映される。
目まぐるしく変化を遂げる渋谷を、森山と若手クリエイターが切り取る本プロジェクト。とくに駅構内で開催の「UNDERGROUND」は今月4日までと会期が短いため、この機会をお見逃しなく。