金沢の国立工芸館で、「国立工芸館☆春待ちスペシャル たんけん!こども工芸館」が2月23日、3月22日、3月23日に開催される。
この企画は、独立行政法人国立美術館とAdobe Foundationによる「Connecting Children with Museums」の一環として実施されるもの。「美術館に子供を連れて行きづらい」という声もある現代の子育て環境において、国立美術館の各館では、ほかの来館者に気兼ねなく展示を鑑賞できる「ファミリーデー」をはじめとする多様な子供向けプログラムなどを実施。それらを通じて、子供たちやその家族を歓迎し、芸術に触れる機会の拡大と、さらなる環境整備やプログラムの充実を目指すものとなっている。
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今回、国立工芸館では3つのイベント「たんけん!こども工芸館~リピート・リピート・モビールづくり」(2月23日)、「たんけん!こども工芸館~つぎつぎぬのワークショップ」(3月22日)、「たんけん!こども工芸館~バッジ&ウォッチ³」(3月23日)が実施予定。実際に素材に触れて手を動かすことで、目で見るだけではない、より深い鑑賞体験となるはずだ。初めて工芸の世界に親しむきっかけにも相応しいイベントであるため、現在開催中の「反復と偶然展」や、3月14日から始まる「花と暮らす展」にあわせてぜひご家族で参加してみてはいかがだろうか。
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また、国立工芸館によるこれまでの教育普及事業についても紹介したい。同館は、石川県に移転する前の東京国立近代美術館工芸館時代より、子供をターゲットとした展覧会を長らく実施しており、さらに2010年頃からは子供の鑑賞姿勢にフォーカスすることを目的とした、様々な取り組みを行ってきた。
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直近の事例として、昨年開催された「おとなとこどもの自由研究 工芸の光と影展」では、工芸作品に見られる光と影の関係から、その表現や形の美しさに注目。内容をあえて子供向けにするのではなく、大人と子供の視点を比較しながら、より深い鑑賞体験を提供することを念頭に置き、「工芸」の分野をよりフラットな目線で届けることを目指して企画されているのがポイントだ。
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会期中には、鑑賞のヒントになるセルフガイドとして子供用の「たんけんマップ」と、高校生以上を対象とした「おとなのための自由研究ノート」の2種類を無料で配布するとともに、展覧会の鑑賞体験を「探検」に見立てたワークショップも開催。『たんけんかのおぼえがき』(ワークブック)に記録した情報を光と影のグラデーションが魅力的な金属製のバッジにアウトプットしたこのプログラムには、3日間の開催で合計214名が参加したという。
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「工芸」というと一見難しいジャンルのようであるが、技法や素材といった専門的な物事を理解するよりも先に、形や色、質感といった目で見える部分をじっくり観察してみることで、その作品の本当の魅力に出会うことができるはずだ。国立工芸館の教育普及の取り組みは、「工芸を楽しむ」ことをサポートしてくれる、そんなきっかけづくりを大切にしているのだ。
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