渋谷PARCOが9月13日より11日間にわたり、「SHIBUYA PARCO ART WEEK 2024」を開催する。
今年のメインビジュアルは、サミュエル・アルバート・ボークソンとアルトゥーロ・サンドバルによる2人組アートコラボレーティブ「FriendsWithYou」が担当。渋谷PARCO 4Fの「PARCO MUSEUM TOKYO」では、NANZUKAのキュレーションのもと個展「Ocean -Temple of the Sacred Heart」を開催する(9月13日~30日)。“Magic”、“Luck”、“Friendship”を軸にして2人が生み出すのは、「新しい人間関係の構築」を提案する体験型の作品。地球を海と名付ける架空の神話に基づく本展では、KAWAII仲間たちの軍団が、Mixxyアルゴリズムからすべての存在を解放するために、団結して立ち向かう勇敢な冒険へと参加することになる。また同時に4Fの吹き抜けスペースでは、無料で体験できるライドの作品も楽しめる。
昨年に続き実施するパフォーミングアーツの演目として、今年は美術家、振付家、ダンサーのハラサオリによる『P wave』改訂版が9月23日に上演される。「環境と身体」をテーマに、自らの身体、光、音、テキスト、ドローイングなど多様なメディアを用いた上演型作品を制作するハラ。約10年に渡るベルリン滞在を経て、2023年より東京、横浜、神戸、京都など国内各都市で活動を行い、舞台のみならず音楽やファッションなどのカルチャーシーンとも関わりながら多様な表現を展開している。
本作は2021年より形を変えながら展開されてきた作品で、「振動と受容」がテーマ。『P wave』というタイトルは、地震発生時最初に地震計で記録される初期微動=primary waveから取られたもの。地震大国・日本で生まれ育ったハラが、自らの身体記憶を振付的視点で揺れる環境におけるヒトの肉体的・精神的な在り方を再考するものとなっている。
2Fの「2G」では、AKIINOUEキュレーションによる中国生まれのアーティスト・Nimyu(ニミュ)による新作個展「Dance with Me」に注目だ(9月20日〜10月20日)。Nimyuは、北京の中央美術学院でBFAを取得後、ニューヨーク・アカデミー・オブ・アート大学院を卒業し、現在は東京を拠点に活動。高度情報化社会における個人のアイデンティティの複雑さをテーマに、人間、動物、食物など日常にありふれた現実的なモチーフとシュールな空想が同居する作品は、見る者を不思議の国へといざない、様々な問いを投げかける。
同じく2Fの「OIL by 美術手帖」では、MATTERのディレクターも務める作家・酒井建治の個展「Like seeing this world for the first time」が開催中(8月30日〜9月23日)。移りゆく人や世の中について思考し探求を続ける絵画シリーズのほか、幾何学構成的にストリートの風景をとらえた新作絵画が並ぶ。
本の世界を体験する2つの展覧会も要チェックだ。B1Fの「GALLERY X BY PARCO」では、9月25日に初の写真集『what is good?』を刊行する写真家・アーティストの嶌村吉祥丸の個展「what is good?」が開催(9月6日〜23日)。過去10年にわたり、東京、パリ、ベルリン、モスクワ、ラオス、ニューヨーク、ポートランドなど、世界各地を巡るなかで撮り溜められた作品から、「“good”とはなにか」という問いと向き合って選ばれた約200点展示される。
また8Fの「ほぼ日曜日」では、シリーズ累計国内1000万部を突破した大人気の“かくれんぼ 絵本”『ミッケ! 』の展覧会「ミッケ! であそぼう展」が開催され、横3メートルの巨大なプリントでミッケ! を体験できる(9月13日〜10月6日)。
このほか、10F ComMunEでは9月21日にコミュニティを総集したイベント「PAMM祭り」を開催。また翌22日にはマルチクリエイター YUUKI 主催のアートとカルチャーの融合型マーケットイベント「Art Culture Street.」の第4弾が開催され、「SELFLOVE(セルフラブ)」をテーマに様々なコンテンツが揃う。また3F POPUP SPACEではPARCO出版設立50周年を記念し、架空の本屋「One Page BOOKSTORE -1ページの本屋-」が1ヶ月限定でオープン(9月6日〜10月6日)。「HERALBONY」による東京初開催のフルラインナップでのポップアップスペースも展開される(9月12日〜24日)。
11日間に約25本もの展示やイベントが一堂に会する「SHIBUYA PARCO ART WEEK 2024」。芸術の秋の始まりに、いま注目のアート&カルチャーに出会う絶好の機会だ。