「コスチュームジュエリー―美の変革者たち― シャネル、ディオール、スキャパレッリ」が宇都宮美術館で開催。コスチュームジュエリーの魅力が一堂に

栃木・宇都宮の宇都宮美術館で「コスチュームジュエリー―美の変革者たち― シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより」が開催。会期は9月8日〜12月15日。

ポール・ポワレ 夜会用マスク、ブレスレット「深海」 制作:マドレーヌ・パニゾン 1919 メタリックチュールにガラスビーズとクリスタルガラスで刺繍
展示風景より

 栃木・宇都宮の宇都宮美術館で「コスチュームジュエリー―美の変革者たち― シャネル、ディオール、スキャパレッリ 小瀧千佐子コレクションより」が開催される。会期は9月8日〜12月15日。

スキャパレッリ ネックレス「葉」 デザイン/制作:ジャン・クレモン 1937頃 クリアエナメル彩メタル、メタルメッシュ 個人蔵
スキャパレッリ クリップ「ハート」モチーフ デザイン:ジャン・シュルンベルジェール 1938頃 エナメル彩メタル、ラインストーン

 コスチュームジュエリーは20世紀はじめ、ポール・ポワレが嚆矢となり、シャネルによって広く普及した。宝石や貴金属といった素材の既成観念から解放され、優れたデザインや衣服との組み合わせの魅力によりパリのモード界を席巻、やがてアメリカへも伝わっていった。本展は3章構成でコスチュームジュエリーの展開を包括的に紹介する展覧会となる。

シャネル ネックレス「花」モチーフ 制作:メゾン・グリポワ 1938 パート・ド・ヴェール・エナメル ガラス、メタル
展示風景より

 第1章「美の変革者たち オートクチュールのコスチュームジュエリー」では、コスチュームジュエリーの先鞭をつけたデザイナー、ポール・ポワレのマスクが象徴的な出品作となる。細かなガラスビーズなどを繊細に縫い付けた夜会用マスク《深海》は、デザイナーの自由な発想とそれを支える職人たちの技術の協働がもたらす豊かなコスチュームジュエリーの黎明期の傑作だ。また、シャネル、ディオール、スキャパレッリといった、ポワレに続く革新的なデザイナーによって監修された作品群を通観する。

クリスチャン・ディオール ネックレス、イヤリング デザイン:ロジェ・ジャン=ピエール 制作:ミッチェル・メイヤー 1954頃 ラインストーン、模造パール、メタル

 第2章「躍進した様式美 ヨーロッパのコスチュームジュエリー」では、ヨーロッパの様々な工房によるクチュールジュエリーが集積。独自のガラス技法を駆使したメゾン・グリポワ、ヴェネチアンビーズを効果的に使用したコッポラ・エ・トッポなどの工房によるオリジナル作品だけでなく、シャネル、ランバンなどのオートクチュールメゾンへ提供された作品が一堂に会する。新たな素材や技法によって生み出された、ファインジュエリーの模倣に縛られない、自由なデザインや質感を楽しむことができるはずだ。

コッポラ・エ・トッポ チョーカー「花火」 デザイン:リダ・コッポラ 1968 クリスタルガラス、ガラスビーズ、ワイヤー、メタル
シス(シシィ・ゾルトフスカ) ネックレス デザイン:ダミアン・シュラー 制作:メゾン・シス 1960頃 カボションガラス、クリスタルガラス、黒染加工メタルネット
展示風景より

 第3章「新世界のマスプロダクション アメリカのコスチュームジュエリー」では、ヨーロッパから伝播し浸透していくなかで、素材やモチーフなどにおいて自由でユニークな発展を遂げたアメリカのコスチュームジュエリーを紹介。優雅で穏やかなデザインのミリアム・ハスケルや、映画を通して羨望の的となった煌びやかなジョセフ・オブ・ハリウッドなど、その幅広いスタイルを示す。また、多様な素材の作品に着目したコーナーでは、意匠の奇抜さだけでなく、新しい可能性を模索したデザイナーたちの自由かつ貪欲な姿勢を感じることができるだろう。

トリファリ ペアクリップ 「ペーターとヘレン」 デザイン:アルフレッド・フィリップ 制作:トリファリ、クラスマン&フィシェル社 1939 エナメル彩メタル、ラインストーン、クリスタルガラス

 さらに、4会場目の巡回となる宇都宮美術館では、新たにシャネル、ディオール、イヴ・サンローランのドレスやスーツを紹介。ドレスに合わせてコーディネートしたコスチュームジュエリーをともに展示する試みも、見どころのひとつとなる。

展示風景より、中央がクリスチャン・ディオール デイ・ドレス デザイン:クリスチャン・ディオールまたはイヴ・サンローラン 1957頃 ウール・シャンタン 杉野学園衣裳博物館蔵

 小瀧千佐子による国内随一のコレクションから選りすぐり、400点あまりの作例を通じて紹介するとともに、各デザイナーが素材の自由を獲得することで生み出した、それぞれの様式美を探る魅力的な展覧会となりそうだ。

展示風景より

編集部

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