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専門ミュージアムに行ってみよう。第2回「アクセサリーミュージアム」

東急東横線祐天寺駅から徒歩7分、閑静な住宅街のなかにある「アクセサリーミュージアム」は、日本では唯一のコスチュームジュエリー専門の私設博物館だ。常時2000点を超える展示品のすべては60年以上もの間、コスチュームジュエリー業界に身を置いてきてきた館長の田中元子が夫妻で収集してきたもの。彼女たちはなぜ、コスチュームジュエリーを集め、そしてミュージアムをつくるに至ったのか?

文=浦島茂世 撮影=編集部

展示風景より

 コスチュームジュエリーとは、貴金属や高価な宝石などを用いず、樹脂やガラス、半貴石やその時代の流行した素材などを用いて自由な発送でつくられた装身具を指す言葉で、日本では一般的に「アクセサリー」と呼ばれることが多い。このコスチュームジュエリーに対し、貴金属や天然の宝石を使用した装飾品はファインジュエリーと呼ばれている。

 どちらのジュエリーも、制作されたときの文化や流行がデザインに反映されているが、とりわけコスチュームジュエリーは時代の流行の影響を強く受けている。それゆえに、そのかたちは短いスパンで大きく変化する。同館はそんなヴィクトリアンから2000年代にいたるコスチュームジュエリーの歴史を展望できる、世界的に見ても非常に珍しい美術館だ。

展示風景より

 ファインジュエリーは専門の美術館も多く、展覧会も数多く開催されているが、コスチュームジュエリーのみを集め、展示する美術館は世界的に見ても非常に珍しい。

 常設展示室で一番古い展示品は19世紀中頃から末まで栄華を誇ったヴィクトリアン様式のものだ。伴侶を失ったヴィクトリア女王が喪に服したときに長く身に着けていたことから流行したジェット(樹木が化石化した黒い天然石)の装身具や、故人の遺髪を使った装身具などからは、当時のコスチュームジュエリーがデザインだけでなく、身につける人々の意識や社会的背景にも違いがあったことがうかがえる。

展示風景より

 19世紀末に流行した動植物のモチーフ、素材を用いたアール・ヌーヴォー様式、第一次大戦をはさみ、新素材も取り入れて花開いたアール・デコ様式などのコスチュームジュエリーは、現在もしばしばリバイバルが起こっている。

展示風景より

 そしてこの美術館の一番のおもしろさは、まだ多くの美術館では展示の対象となっていない第二次世界大戦後、60年代、70年代、80年代、バブル時代などのコスチュームジュエリーを鑑賞できる点だ。技術革新、人々の価値観、流通の流れなど様々な要素が急速に変化し、様々なデザインが花開く。

展示風景より

 ちなみに、ミュージアム付属のショップでは、先代から受け継がれているデッドストックのスワロフスキなど貴重な資材も購入も可能。さらに、希望したパーツを使ってその場でオリジナルのコスチュームジュエリーを、スタッフのアドバイスで制作することもできる。定期的に行われているアクセサリー制作教室はつねに人気だ。

ミュージアム付属のショップ

 国内外からも数多くの人々が訪れているという。「服飾を学ぶ学生さんはもちろんですが、同業者の方も多くいらっしゃいます。すでに職人がいなくなって再現できない技術でつくられたものも数多くあります」と語るのは、アクセサリーミュージアム創設者、田中元子。2010年に開館したこの館は、彼女の自宅を改装してつくられている。

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