イヴ・サンローランのファッションアイコンであると同時に、サンローランの「片割れ」でもあったベティ・カトルーに焦点をあてた展覧会「BETTY CATROUX - YVES SAINT LAURENT 唯一無二の女性展」が、東京・天王洲の寺田倉庫 B&C HALL / E HALLで開催される。会期は11月19日〜12月11日。
1962年、イヴ・サンローラン(1936〜2008)とピエール・ベルジェ(1930〜2017)はクチュールメゾンを共同で設立。革新的なブランドとしてファッション界を席巻する。1967年、イヴはナイトクラブで出会ったベティ・カトルーに心を奪われ、以降、ベティはイヴ・サンローランのファッションを体現する存在としてファッションアイコンとなった。
イヴとベティはふたりは切っても切れない仲となり、ベティはイヴのファッション、反骨精神、ミステリアスさ、モダニティなどを体現してきた。「ベティは時代の象徴である」とはサンローランの言葉だ。30年以上にわたって、ベティはショーが終わるたびにアイテムをセレクトし、自身のワードローブを構築していった。サンローランは2008年に他界したが、その神話はいまも生き続けており、ベティはいまなおその精神を表現する存在であり続けている。
2019年、ベティ・カトルーはピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団に500点もの作品を寄贈。その後すぐに、財団の代表であるマディソン・コックスとサンローラン・パリは、ベティ・カトルーに捧げる展覧会を構想。サンローランのクリエイティブ・ディレクターであるアンソニー・ヴァカレロにその監修を任せた。
その結実である本展「BETTY CATROUX - YVES SAINT LAURENT 唯一無二の女性展」は、ベティのモダンな女性像や、そのスタイルを余すところなく明らかにするもの。ベティのワードローブをヴァカレロが洞察し、そのユニークな個性と、ブランドが守り続けてきたスタイルを照らし出した。過去にパリのイヴ・サンローラン美術館(2020年3月〜2021年5月)、上海のMoCA(2021年6月〜8月)でも開催された本展が、ついに日本に上陸する。
ヴァカレロはベティについて、次のように語っている。「ベティは多くを語らなくともサンローランを体現します。魅力的でミステリアス、不条理ともいえる側面を持ち、とらえどころがないけれども誰もが憧れる存在。そのすべてがメゾンの根底にあり、ベティに会えばその存在の偉大さがわかるのです。彼女は、このメゾンが永遠に時代を超越したダイナミックな存在であることを示す生き証人です」。