富山市ガラス美術館でカースティ・レイの国内初個展が開催。40年におよぶ創作と思索の軌跡をたどる

富山市ガラス美術館で、オーストラリアの作家、カースティ・レイ(1955〜)の個展「カースティ・レイ:静けさの地平」が開催。およそ40年におよぶ創作と思索の軌跡を、人間と環境の相互的な関係への深い関心が込められた作品から探る。

カースティ・レイ いつも泳いでいた―川、湖、池 2013 作家蔵 撮影=デイヴィッド ・ペイターソン
カースティ・レイ Kirstie Rea, DESIGN Canberra 2020 designer-in-residence. Photo: Lean Timms.

 国内外の様々なガラス表現を紹介する富山市ガラス美術館で、オーストラリアの作家、カースティ・レイ(1955〜)の個展「カースティ・レイ:静けさの地平」が開催される。会期は3月12日〜6月26日。

カーティス・レイ とどまるもの 2019 作家蔵 撮影=デイヴィッド・ペイターソン
カースティ・レイ 収穫 2013 作家蔵 撮影=デイヴィッド・ペイターソン

 カースティ・レイは、故郷キャンベラ周辺の丘陵や自然公園を歩くことを通して、現代の暮らしのなかで希薄になりがちな「場所とつながる」という感覚を探求してきた。

 レイはその体験や気づきを、ガラスの彫刻やインスタレーションによって表現。自然から得た感触を柔らかくたわんだガラスに落とし込む「折り」や、農作業が土地に刻んだ痕跡を表す「農具」のシリーズなど、場所への敬意や愛着とともに、人間と環境の相互的な関係への深い関心が込められた作品を制作してきた。

カースティ・レイ 無題 1998 アン・クリアリー、ピーター・キング所蔵(キャンベラ) 撮影=デイヴィッド ・ペイターソン
カースティ・レイ 内側の外側にてⅠ 2008 作家蔵 撮影=デイヴィッド ・ペイターソン

 レイにとって、作品制作を通して場所にまつわる記憶に触れることは、自分の存在を包み込む風景との一体感のうちに、彼女自身の「居場所」を見つめ直そうとする試みであるという。

 過去最大にして日本初の個展となる「カースティ・レイ:静けさの地平」。今回のために制作された最新作を交えた約50点の作品を展示し、およそ40年におよぶ創作と思索の軌跡をたどりながら、レイが歩んできた広大な静けさを展望する。

カースティ・レイ 静なる存在Ⅳ 2019 作家蔵 撮影=デイヴィッド ・ペイターソン
カースティ・レイ リフレクトー開かれた誘い 2021 作家蔵 撮影=デイビッド・ペイターソン (今回のために制作された最新作)

編集部

Exhibition Ranking