近代化産業遺産「名村造船所跡地」で知られ、近年は森村泰昌が旧家具店を再生してオープンした「モリムラ@ミュージアム」をはじめ、元造船所の倉庫を改装したシェアスタジオ「Super Studio Kitakagaya」などユニークな建物を活用したクリエイティブ拠点が点在する大阪・北加賀屋エリア。ここで、7つのアートイベントが10月から11月にかけて開催される。
約1000平米の鋼材加工工場・倉庫跡地を再利用した大型現代美術作品の収蔵庫「MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)」では、「Open Storage 2021 -拡張する収蔵庫-」展(10月16日〜11月14日の土日、11月3日、12日、計12日間)を開催する。
宇治野宗輝、金氏徹平、久保田弘成、名和晃平、やなぎみわ、ヤノベケンジといった国際的に活躍する現代美術作家6名の収蔵作品展示とともに、MASK初の公募により選出された持田敦子が新作を発表。これまで開かずの扉だったシャッター面を活用し、MASKに新しい入口を「拓く」ことを試みた作品となる。
11月12日〜14日には、同会場にてクロージングイベントが開催。来年2月に開館する大阪中之島美術館への寄贈が予定されている、MASKのシンボル的な作品であるヤノベケンジの《ジャイアント・トらやん》のファイヤーパフォーマンスと、大阪中之島美術館館長・菅谷富夫や建築家・遠藤克彦、MASK参画アーティストなど豪華なゲストを迎えるスペシャルトークイベントを行う。
大阪最大のアーティスト・クリエイター向けシェアスタジオ「Super Studio Kitakagaya」では「Open Studio 2021 Autumn」(10月23日〜11月14日の土日、計8日間)を開催。14名のアーティストやクリエイターの作業場の一般公開に加え、元造船所の倉庫をリノベーションした空間を活かして3組の入居アーティスト、下寺孝典、ノガミカツキ、前田耕平×葭村太一が新作を展示する。
大阪出身・在住の美術家・森村泰昌が2018年にオープンした個人美術館「モリムラ@ミュージアム」では、伝統芸能「人形浄瑠璃文楽」の人形遣いである桐竹勘十郎とのコラボレーション展「お手を拝借!!」を11月19日~2022年4月24日の会期で開催。伝統芸能と現代美術という一見するとかけ離れた領域だが、それぞれの領域を牽引するふたりが手を携え、互いの拠点・大阪の地で共鳴する。
元家具倉庫を活用した「kagoo」(10月30日〜11月21日)、クラブなども入る「音ビル」(11月5日〜14日)、文化住宅をリノベーションした文化複合施設「千鳥文化」(11月12日〜21日)の3会場では、増田セバスチャンによる、街を巡回しながら作品を鑑賞できる展覧会「Yes, Kawaii Is Art」が開催。「千鳥文化」では、京都市立芸術大学大学院彫刻専攻有志グループによる展覧会「ものとかすひと」(10月16日〜11月7日)も行われる。
そのほか、名村造船所跡地のクリエイティブセンター大阪では、1日限りのアートなお祭り「すみのえアート・ビート 2021」が11月14日に開催。イベントの顔となったラバー・ダックの展示をはじめ、食・農・アートを楽しめる「マルシェ みんなのうえん祭」や、北加賀屋にゆかりのあるアーティストによる展示が行われる。
かつて造船のまちとして栄えた北加賀屋の歴史を物語るユニークな建物を舞台に、世界的に活躍するアーティストやこれから活躍が期待される若手アーティストによる多彩なアートイベントをお見逃しなく。